配信日時 2022/03/08 09:47

他者視点から「自分の強み」を知る、2つの方法論【カレッジサプリ】

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令和4年3月8日(第2938号)


他者視点から「自分の強み」を知る、2つの方法論

(サブタイトル:書籍『組織におけるストレングスベースのリーダーシップ・コーチング』を読み解く(7)
 第4章 強みの特定と評価(後半))
 

株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3402字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
また夕方は5キロのランニング。

「少し休んだほうがよいよ」と
ガーミン(スポーツウォッチ)から
提案されたので、ちょっと休みたいと思います。



さて、本日のお話です。


先日よりお届けしております、

「組織におけるストレングスベースの
 リーダーシップ・コーチング」

『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』
https://www.amazon.co.jp/dp/B01CEFQWMI/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WFSJHK5H0CHCFSB5WMK9

について、本日もお届けしたいと思います。


本日は「第4章 強みの特定と評価」の後半です。

強みを他者やインタビューから知る方法について
様々なラインナップをご紹介させていただきます。

それでは、早速参りましょう!


タイトルは、



【他者視点から「自分の強み」を知る、2つの方法論】



それでは、どうぞ。



■「強み」というのは、

”自分の鼻すじ”

みたいなものだ、と言われます。

これは自分で自分の強みは
なかなか自覚できない、

という比喩です。


そして、もうちょっと具体的に言えば

・自分の強みを過小評価してしまう
・逆に、過大評価してしまう

等のバイアスの効果ありますし、

自分で強みと思っていても

「それ、ほんまかいな」という
自らの疑念がついてまわる、

ということもあるわけです。



■そこで、「強みの理解」を促す
有効な方法論があります。

それが

1)「マルチソースフィードバック(MSF)」

2)「インタビュー」

です。



今日はこれらがそれぞれ何なのかを、
ご紹介の書籍より、共に紐解きたいと思います。



■まず1つ目

【1)マルチソースフィードバック(MSF)】

についてです。
 

**

<マルチソースフィードバック(MSF)とはなにか?>

◯マルチソースフィードバックとは?

・複数の人にその人について質問をする、360°評価。
 マルチソースフィードバックを活用すると、
 自己評価の信頼度の低さをクリアにでき、個人の強みに対する認識を高めることができる。

(なぜならば自己評価にはポジティブバイアスがかかりやすく、
 他の評価者を加えることで、評価の予測妥当性が向上するから。
 ちなみに、「群衆の知恵」という概念に基づいていて、
 個人のバイアスを排除し、より正確な現状を理解することができるとされる)


◯マルチソースフィードバックの効果とは?

・マルチソースフィードバックは非常に効果的であることが証明されている。
・現在ではそれ自体が介入とみなされているが、コーチングと組み合わされることも多い。


◯マルチフィードバックの傾向とは?

・上司は業績基準を重視する傾向があり、
 直属の部下は関係性の側面から評価する傾向がある。

・他者と比較して自分のパフォーマンスを「過大評価」している場合、
 再度行うと、自分の評価を再調整して、スコアが下がる傾向がある。

・逆に「過小評価」している場合、“自信のなさ”と“基準の高さ”の現れであり、
 コーチはこのズレを減らす手助けをすることが求められる。



<マルチソースフィードバックの種類>

●多因子リーダーシップ質問表(MLQ360)
*特徴:「変革型リーダーシップ」「取引型リーダーシップ」「受動的・回避的リーダーシップ」の3つのカテゴリーに分けられている。
*強み:MLQはリーダーシップの効果的な要素から、機能していない要素まで、強みと弱みの両方を網羅的に理解できるのがよいところ。
*その他:信頼度が高いリーダーシップの質問表として幅広く利用されている。
(Bass and Avolio,1997)

●リーダーシップ・バーサタイル・インデックス(LVI)
*特徴:「強みを発揮しすぎても、しなさすぎてもパフォーマンスに影響がある」という信念に基づいた質問表。
・2つの領域、「力を発揮できる領域」「戦略的に運用する領域」を特定できる。
*強み:評価者が「使いすぎ」「使い足りない」「まあまあ」で評価できる
*その他:リーダーシップ理論とは上手く整合されていない
(Kaiser,Lindberg and Craig,2007)

●ロミンジャーの声360
*特徴:国際的非営利の教育機関CCL(Center for Creative Leadership)の研究から生まれた。
 67のコンピテンシーと19のキャリアを推進する/抑制するものについて評価。
*強み:コンピテンシーの重要性を伝えること、過剰使用の可能性を伝えられるところ
*その他:コンピテンシーは「戦略」「業務」「勇気」「エネルギーと意欲」「組織のポジショニング・スキル」「個人と対人関係のスキル」の6つの要素から成り立つ
(Dai and De Meuse,2007)

●ストレングススコープ360
特徴:「具体的な強みに関するアンケート」を360度評価で行うもの。

●オーセンティック・リーダーシップ質問表(ALQ)
特徴:自己評価と他者評価の両面で実施ができる。質問の構成要素は
「関係の透明性」「バランスのとれた処理」「自己認識」「内面化された道徳観」。ALSの4つの次元と整合している。
(Walumbwa et al,2008)

●リーダーシップ・プラクティス・インベントリ
特徴:リーダーの実践に焦点を当てた変革型リーダーシップの指標として開発。
5つのコア要素として「道を示す」「ビジョンを共有する」「プロセスに挑戦する」「他者の行動を可能にする」「心を励ます」からなる。
(Poser and Kouzes,1993)

**


さて、ここまでが
マルチソースフィードバックについて。

うーん、実にたくさんの種類があるのですね。。。

(もっとも有名なのは、一番上の
 多因子リーダーシップ質問表のようです。
 
 世のマネジャーの皆さまがやってみると
 自分の強みがよりわかる(かも)しれませんね)



■次に、2つ目。

2)「インタビュー」

です。


他者からの“インタビュー”によって
「強み」を理解する方法として、
以下のようなやり方が開発されています。

**

●ハイポイント・インタビュー

*特徴:ピーク時の経験を聞くことで、その人の「強みに関連した物語」が理解できて、
 『強みがどのような場面で、どのように活用されているのか』
 『本人や周囲の人の強みをどのように補完しているのか』を抽出することできる。

*やり方:
 「リーダーが仕事で最高の状態にあったとき、その背景は何だったのか?」
 「その最高のパフォーマンスを支える具体的な強みは何だったのか?」
 上記の設問について半構造化インタビュー(いくつかの決まった質問&自由質問)を行う。



●フィードフォワード・インタビュー

*特徴:
 AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー=価値を認める質問)という、
 ポジティブ心理学のアプローチの原則に基づいた半構造化インタビュー。(Kluger and Nir,2006)

*やリ方:
 これまでにあった「大切なポジティブな出来事」を聞き出し、
 その「出来事の成功にまつわる条件(強み)」を明らかにする。
 そして、特定された強みを実行するための「将来の計画」を明確にする。

※着目すべきところは、標準的なフィードバックをされた人と比べて、
 このフィードフォワード・インタビューに参加した人は、目標を達成する可能性が有意に高いことである。
(McDowall,Freeeman and Marshall,2014)


**

この2つについて、
私(紀藤)も研修等で実施しますが、

インタビューする側もされる側も
強みを認め合う、非常に前向きな空気になります。

とてもおすすめです。



■、、、ということで、

上記について「他者の視点から強みを理解する方法論」として

1)「マルチソースフィードバック(MSF)」
2)「インタビュー」

の2つをご紹介いたしました。


昨日の「強みの自己評価(心理測定方法)」も合わせた
強みの評価の結論としては、
書籍において以下のように結ばれています。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<まとめと結論 ~強みの評価について~>

◯強みの評価の現状

・強みの評価は、まだ開発の初期段階にある。
 ゆえに、強みの定義、評価方法、差別的妥当性などについては、コンセンサスが得られていない。
・とはいえ、強みに基づくアプローチを取り組む上で、妨げとなるものではない。


◯強みの評価についてお勧めの方法

・ここまで述べた様々な評価手法、

1)「強みの自己評価(ストレングス・ファインダー、VIAなど)」
2)「強みの他者評価(マルチソースフィードバック/MLQなど)」
3)「強みのインタビュー(ハイポイント・インタビューなど)」

 を組み合わせて使うことが望ましい。

・そうすることで「強みを特定する&活用する」ことができ、
 意図的に強みを伸ばすことができ、かつ
 職場でも強みについての会話を促すことになるであろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

となります。



■いずれにせよ、

強みについては様々な視点から
理解しようとすることはやはり有用のようですね。

ぜひ職場内でもやっていただけると
気づきになることも多いのではないか、

と思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>
かたつむりに殻の様子を教えてやれるのは、
かたつむり以外の者だ。

エルバート・ハバード(米国の作家/1856-1915)

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【編集後記】
自宅で妻がプリンを作っておりました。
プリンって牛乳と卵と砂糖だけで作れるんだ、と知り、
小さな驚きを覚えておりました。
もっと複雑と思ってました。。。


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