配信日時 2022/03/01 09:22

書籍『組織におけるストレングスベースのリーダーシップ・コーチング』を読み解く(2)~第1章 組織におけるストレングスベースのアプローチの紹介(前半)~【カレッジサプリ】

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令和4年3月1日(第2931号)


書籍『組織におけるストレングスベースのリーダーシップ・コーチング』を読み解く(2)
 ~第1章 組織におけるストレングスベースのアプローチの紹介(後半)~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 4885字/読了時間6分)


■おはようございます。紀藤です。


さて、早速ですが本日のお話です。

先日よりお届けさせていただいた

「組織におけるストレングスベースの
 リーダーシップ・コーチング」

について、本日もお届けして参りたいと思います!

ポジティブ心理学という
比較的新しい考え方の中で生み出されたこの考え方。

非常によくまとめられている

Doug MacKie (2016)
『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』
https://www.amazon.co.jp/dp/B01CEFQWMI/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WFSJHK5H0CHCFSB5WMK9

を、一章ごとに
探求してまいりたいと思います。


それでは早速まいりましょう!


タイトルは、



【名著『組織におけるストレングスベースのリーダーシップ・コーチング』を読み解く(2)
 ~第1章 組織におけるストレングスベースのアプローチの紹介(後半)~】
 
 

それでは、どうぞ。



■さて、昨日のお話は、
第一章の前半のお話でした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<第一章:組織におけるストレングスベースのアプローチの紹介>
(前半)
【現代のリーダーシップ開発の課題】
【ストレングスベースのアプローチの歴史】
【ネガティブ志向の背景には何があるのか?】
【リーダーシップ行動の進化】
【才能のエピジェネティクス】 

※昨日のお話はこちら ↓↓
 https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4118981/ 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、本日は後半

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(後半)
【リーダーシップに対するよりポジティブなアプローチの起源】
【ポジティブ・リーダーシップ理論の最新傾向】
【ポジティブ・リーダーシップ開発の現代的傾向
【コーチングとポジティブ心理学】
【ポジティブ・リーダーシップの定義は何か?】
【リーダーシップ開発におけるストレングスベースのアプローチの理論的根拠】
【ストレングスベースのアプローチの理解に役立つツール】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

となります。



■それでは、一つずつ
項目を見ていきたいと思います。

(翻訳文がカクカクしておりますが
 ご容赦いただければ幸いです)


(↓↓ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【リーダーシップに対するよりポジティブなアプローチの起源】

◯マズロー、セリグマンらは人間の強みに焦点を当てることを提唱していたものの、
 行動主義的に、実証実験などで証明することに苦戦していた。


◯<ポジティブアプローチが流行で終わらない理由>

1)ポジティブアプローチは、変革型リーダーシップのような既存モデル、
  オーセンティック・リーダーシップのような新しいモデルの両方から理論的に裏付けられている 
2)ポジティブ・リーダーシップは、既存のリーダーシップ開発の文献と統合されている
3)ポジティブ研究は、ポジティブ・リーダーシップ介入の要素を引き出すために、経験的に検証されている


◯ポジティブリーダーシップモデルは、ポジティブ組織心理学の2つの異なる分野を利用している。POBとPOS。

・ポジティブ組織行動(POB)の定義
「今日の職場でパフォーマンスを向上させるために、測定、開発、効果的な管理が可能な、
 ポジティブに方向づけられた人的資源の強みと心理的能力の研究と応用」と定義されている(Luthans,2002)

・ポジティブ・リーダーシップは、開発可能なスキルと状態に焦点を当てているのでPOBの延長戦上にある。
 リーダーシップ開発プロセスにおいて、開発可能とすることはとても重要である

**

【ポジティブ・リーダーシップ理論の最新傾向】

◯現代のリーダーシップの専門家の間では、現代の理論化とリーダーシップの応用は、
 (リーダーではなく)リーダーシップに焦点を当てるべきだ、という認識が広まっている(Day,Harrison and Halpin,2012)

◯リーダーシップの個人→集団への移行。
 個人の能力を超えてパフォーマンスの高いチームの能力を必要としている

◯ポジティブ・リーダーシップ理論は、オーセンティックリーダーシップ(ALS)など
 道徳的・倫理的な関心を統合するようになっている。

**

【ポジティブ・リーダーシップ開発の現代的傾向】

◯<リーダーシップ開発の3つの傾向>

1)リーダーシップ開発は個別化され、個人のニーズに合わせて調整されるオーダーメイドの介入として設計されるようになった
  (なぜなら個人の要因がリーダーシッププログラムの成功を左右することがわかったため、Avolio and Hannah,2008)
 
2)リーダーシップ開発が、欠点改善からからポジティブな方向性になった

3)リーダーシップ開発は、レベル化されたコンピテンシーという概念が取り入れられるようになった
 (上級リーダーは、下級リーダーとは大きく異なる能力を持つことが求められるようになった、Lord and Hall,2005
  例えば、初心者のリーダーは技術的な習得、情報処理の認知スキル等に焦点を当てるが、上級レベルのリーダーは、
  誠実さ、価値に基づくリーダーシップ、計画・財務管理・ビジョン策定に焦点を当てる傾向がある、Numford et al 2005)

4)リーダーシップ開発は、より個人的で、レベル化された、経験的でポジティブなアプローチになるべきとされた

**

【コーチングとポジティブ心理学】

◯コーチングとポジティブ心理学は、相互に互換性があると指摘されている

◯コーチングはポジティブ心理学を応用したものであり、
 理論的にポジティブな構成要素を行動に移すためのメカニズムであると考えられている(Freire,2013)

◯コーチングとポジティブ心理学は、以下の前提を共有している。
1)ポジティブなものに焦点を当てる
2)人は学びたいものだという信念
3)個人は自分自身の中に課題の解決策を持っている

(ここからポジティブ心理学の3つの柱、喜び、関与、意味の開発に焦点を当てたコーチングモデルが生まれた Kauffman,2006)

◯多くの機関でエグゼクティブコーチングをやっていたのに、多くの倫理的に誤った決定がなされたのか。
 当時、コーチングモデルは中立的で、コーチ自身が自己探求をするための枠組みに過ぎなかったが、
 現在では、リーダーシップ・コーチングをはじめとするコーチングの専門モデルが登場しており、
 コーチに専門知識を要求し、より指示的なアプローチをとることができるようになっている(Elliott,2011)

◯コーチングはその後、ポジティブなリーダーシップ開発の重要な配信メカニズムの一つになっている。



【ポジティブ・リーダーシップの定義は何か?】

◯<ポジティブ・リーダーシップ・アプローチの4つの要素>

1)リーダーの個人的、状況的な強みに焦点を当てる。
  リーダーのピークパフォーマンスとそれを支える資質を理解する。
  変化と発展が可能であるという成長マインドが加わる
  
2)リーダーの周囲の人々(特にフォロワー)にポジティブな影響を与える必要がある
  リーダーシップは関係性のあるプロセスであり、恩恵は個人に留まるものではない

3)他者へのポジティブな影響は、組織の目標に意味のある増加に繋がる必要がある
  (フォロワーのさらなる努力、組織パフォーマンス向上等。生産性を高めるのも大事)

4)ポジティブ・リーダーシップの目的は自己超越的なもの。
  個人的な利益のために他者を操作するような強制的なものではない。



【リーダーシップ開発におけるストレングスベースのアプローチの理論的根拠】

◯<ストレングスベースのリーダーシップ開発の3つの理論的根拠>

1)強みに焦点を与えることで、欠点を減らすリーダーシップ開発を改善しようとしている(Luthans and Avolio,2003)

2)メタ分析により、現在のリーダーシップモデルでは有意な量の分散を説明できないことが示されている。
  更に多くの重要な変数が発見されることが示唆されている(Avolio et al,2009)
  
3)ストレングスベースのアプローチの実践者の適用は、研究の証拠よりも先に進んでいる
(つまり、まだ見つかっていない重要なリーダーシップ開発の変数がストレングスベースのやり方の中に眠っているだろう、
 ということが示唆されている)


◯<ストレングスベースのリーダーシップの利点>

・ストレングスベースのリーダーシップは、より平等で参加型のアプローチ。
・従業員の育成と定着に貢献する。
・ストレングスベースのアプローチは、リーダーやリーダーシップ開発に加えて、
 フォロワーのエンゲージメントや心理的資本の開発にも役立ち、結果的にパフォーマンスを向上させる(Van Woerkom and Meyers,2014)
・ストレングスベースのアプローチは、すべての従業員が自分の強みを認識し、組織のニーズに合わせ、
 リーダーシップ能力を身につけることを支援することで、従業員の労働生活と効果を高めることができる。



【ストレングスベースのアプローチの理解に役立つツール】

◯ストレングスベースのアプローチの理解のための考え方(ツール)

1)学習に対する成長マインドセット(人は成長できるものという考え方)は
  ストレングスベースの理解のための、基礎的な考え方である。
 
2)強みには特性、才能、能力、状態等様々な種類がある。
 それぞれのカテゴリーに応じた育成プロセスやアプローチが必要である

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(↑↑ここまで)


■、、、と長くなりましたが
ここまでが一章の内容となります。


結論として、この章では、

1,ポジティブ・リーダーシップ開発は
  現代の課題に対処するためのいくつかの処方箋になりえる。
  
2,理論と証拠に基づくアプローチの提供ができる。

3,リーダーシップ開発における欠陥に焦点を当てたアプローチに対して
  違った見方を提供できる

と結んでいます。



■「強みに注目しよう」という流れが、
どのように生まれてきたのか、

その文脈を大局的に見ることで、
ストレングスベースのアプローチの可能性も、
より明確に見えるように感じます。


さて、まだまだ第一章(汗)

また明日以降も
はりきってお届けしていきたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<今回 取り上げた書籍はこちら>

『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』
Doug MacKie (2016)

https://www.amazon.co.jp/dp/B01CEFQWMI/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WFSJHK5H0CHCFSB5WMK9

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【編集後記】

子供が1歳になり、来月から保育園に入ることが決まりました。
この1年は半育休ということで、子供との時間が多く過ごしてきましたが、
仕事モードのスイッチを入れていきたいと思います。
毎日できることを、自分なりの高濃度で積み重ねていきたいと思います。


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