配信日時 2022/02/16 09:55

「フォロワーシップ」とは何か(その5)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:後編~【カレッジサプリ】

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令和4年2月16日(第2918号)


「フォロワーシップ」とは何か(その5)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:後編~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3358字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日はチームビルディング研修の第4回目の実施。
(改めてご参加頂いた皆さまありがとうございました)

その他アポイント2件。
夕方はキックボクシングジムへ。
運動は体調が良くなって、気持ちが良いです。




さて、本日のお話です。

昨日に引き続き、本日も
「フォロワーシップ」をテーマに
学びを深めてまいりたいと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは



【「フォロワーシップ」とは何か(その5)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:後編~】



それでは、どうぞ。



■昨日のお話では、

「フォローシップ研究に関する
 2つのアプローチ」

の中で

『役割ベースのフォロワーシップ』

についてお伝えしてまいりました。

ちなみに
「役割ベースのフォロワーシップ」とは
こんな項目がありました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<役割ベースのフォロワーシップ_一覧>

1)「フォロワーシップ・タイポロジー」
2)「フォロワーシップ・ロール・オリエンテーション」
3)「暗黙のフォロワーシップ理論」
4)「リーダーの行動の形成者としてのフォロワー」
5)「フォロワーシップ・ビヘイビア」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして昨日は1)について
お伝えをいたしました。



■今日は続く、

2)~5)のテーマについて、
まとめてみたいと思います。

論文からの引用なので濃ゆい内容ですが、
「なるほどな」と思わされます。

ということで、早速参りましょう!


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<役割ベースのフォロワーシップ>


2)「フォロワーシップ・ロール・オリエンテーション」

・フォロワーが
 「自分の役割をどのように見ているか」
 「どのような信念を持っているか」
 「フォロワーとして成功するために自分の資質をどのように表現しているか」
 を調査した研究(カールステン,2010)
 
・この研究でわかったことは、
 あるフォロワーは「自分の”役割”を従順なもの」として受動的な見方をしている(例:羊とか)
 別のフォロワーは「自分の”役割”を積極的なもの」としてリーダーとパートナーを組むこと、と考えている(例:積極的な共同貢献者)
 ということだった。
 
・フォロワーが”自分の役割志向(ロール)”に沿って役割が遂行されるかは
 その場のコンテクスト(文脈)に依存する。
 
 例えば、官僚的な組織の際に、積極的なフォロワーはストレスを感じる。
 逆に、エンパワーメント(任せる)風土の組織では、受動的なフォロワーはストレスを感じる。



◯3)「暗黙のフォロワーシップ理論」

・リーダーはフォロワーの行動に対する信念やスキーマを持っており、
 それがフォロワーの「良い」「悪い」などの評価に影響を与えるという理論。(サイ,2010)
 
・マネジャーにフォロワーシップを特徴づける特性や行動を聞いたところ
 以下の6因子で、フォロワーの特徴を表されることがわかった。
 
 ーフォロワーシップ原型・・・「勤勉」「熱意」「善良な市民」
 ーフォロワーシップ反原型・・・「適合性」「反抗」「無能」



◯4)「リーダーの行動の形成者としてのフォロワー」

・フォロワーの重要な役割は、
 「リーダーに影響を与え、リーダーの出現を促進すること」
 であると言う考え方。
 
・例えば、リーダーが権力の乱用等を避けるために、
 積極的な役割を認識し、果たす必要がある(物申す等)。
 
・フォロワーの発達レベル
(自己実現欲求、集団主義的志向、批判的・独立的アプローチ、課題への積極的関与、自己効力感等)は、
 変革型リーダーシップを予測する、ということもわかっている。
 (ただし、間接的なフォロワーのみであった) 



◯5)「フォロワーシップ・ビヘイビア」

・個人がフォロワーとしての役割を果たす際に、
 どのような行動(=ビヘイビア)をとるかを考えた研究。
 (Carsten & Uhl-Bien, 2012, 2013)
 
・元々は、「フォロワーは従順な部下」という行動だったのが
 知識社会になり、「フォロワーは抵抗的な行動や積極的な行動」が必要という考えに、
 ますます注目が集まっている。行動としては以下の研究がこれまでにされている。
 
・行動1:「服従と従属」
 ーフォロワーが自分の仕事を”命令を遂行すること””リーダーのやり方で物事を行うこと”と捉える。
  しかしこう捉えていると、フォロワーは自分を無力と考え、肯定的な感情の報告が少なくなり、
  反面、リーダーはより大きな能力と主体性を持っているとみなすことがわかっている
  
・行動2:「抵抗」
 ー建設的な抵抗行動:上司との対話を開こうとする善意の努力(例:説明を求める、交渉する)
 ー機能不全の抵抗行動:忙しくて要求を完了できないと振る舞う、聞かなかったふりをする、忘れてしまったという受動的な反応
 リーダーとメンバーの関係が低いと、機能不全的な抵抗行動になりがちである。
 
・行動3:「プロアクティブな行動(積極的な行動)」
 ー従業員が環境に変化を与えたり、変えたりするための計画し行動する、
  創造的で意図的な方法のこと
 ーフィードバック探求、主導権を握る行動、向社会的なルール違反、
  発言力、作業構造への影響、個人へのイニシアチブのとり方などがある、とされる。


※一部引用・著者編集
 MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


■さて、まとめてみましたが、
見てみていかがでしょうか。


こちらも見てみると、
多くの切り口からフォロワーシップが
考えられている事に気が付きます。

うん、盛りだくさんです。



■しかし、一つずつ
自分ごとに当てはめて考えると
視点が広がることを感じます。


例えば、私が思ったのが、
こんなことでした。

(以下、私の”感想”です)


まず、

2)「フォロワーシップ・ロール・オリエンテーション」については


”フォロワーとしての「自己認識」が大事。 

 官僚的な組織もあれば、任せられる組織も常に存在している。
 
 ゆえに、組織の文脈で期待される「フォロワーの役割」を意識しつつ
 自分の役割志向に合った”組織を選ぶ”という考え方も、
 自分自身のキャリアを快適に過ごすためには
 必要な戦略なのかもしれない” 


とも思いました。


3)「暗黙のフォロワーシップ理論」については

”「部下とは◯◯であるべきだ」という考えは、
 マネジャーにはそれぞれある、ということ。
 
 「反抗するくらいが骨があっていい」と思うマネジャーもいれば、
 「善良な市民として、空気を読んで合わせるべきだ」
 と考えるマネジャーもいるのだろう。
 
 それによって、評価が変わることも事実であるがゆえ、
 それに合わせた対応を客観的に考えることも有用かもしれない”
 
 
と思いました。


4)「リーダーの行動の形成者としてのフォロワー」では

”リーダーが、リーダーたるためには、
 当人だけではなく、フォロワーが強くなる必要がある。

「リーダーを形成するのがフォロワーの役割だ」と考え直すと、
 もっとフォロワーとしてもできることが増えるのかもしれない”
 

とも感じました。
 

5)「フォロワーシップ・ビヘイビア」では

”フォロワーシップの行動も、このように分類して考えると、
 ただ「服従する」という古典的な考え方だけではないことが
 改めて理解できる。
 
 このよう「行動」を自分やメンバーと照らし合わせて考えると、
 フォロワーとしての自分の行動スタイルに自覚的になったり、
 部下の行動スタイルも客観的に考えられるようにもなるのかもしれない”


などとも思いました。

以上、紀藤の感想でした。



■おそらく、皆さまも
それぞれ感じられることがあるのかと思います。


”フォロワーシップの
「役割ベースのアプローチ」の研究”

についてまとめて見る中で
あまり聞き慣れない言葉も多く登場してきます。

それでもこのように
網羅的に1つのテーマについて考えることは
視点が広がるな、と感じますし、

自分の日常に紐付けて考えると

”起こっている現象を客観的に観察する
 メガネを手に入れる”
 
行為とも思えますし、
自分の無意識のバイアスにも
気づくきっかけにもなり得るかと思います。



■ということで、明日も
引き続きこちらのテーマを深ぼっていきたいと思います。

明日はもう一つのフォロワーシップのアプローチ

『2)構築主義的なアプローチ』
(=社会的プロセスとしてのフォロワーシップ)

についてお伝えして参りたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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<本日の名言>

たとえ今すぐ相違点を克服できないにしても、
少なくとも多様性を認められるような世界を作る努力はできるはずだ。

ジョン・F・ケネディ(第35代米国大統領/1917-1963)

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【編集後記】
先日、妻と共にココナラというスキルを購入できる手軽なサービスで
「四柱推命のレポート」を書いてくれるというものをやりました。
その結果を元にお互いのフィードバックを行ったのですが(どこがGOODでどこがMOTTOか)
深いコミュニケーションができて非常に有益でした。
(またこのお話は熱く語りたいので別途ご紹介したいと思います)



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