配信日時 2022/02/15 10:03

「フォロワーシップ」とは何か(その4)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:前編~【カレッジサプリ】

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令和4年2月15日(第2917号)


「フォロワーシップ」とは何か(その4)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:前編~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2954字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
夜は、13キロのランニングでした。

5月の100キロマラソンに向けて、
あと3ヶ月なので、月150~200キロを目安に、
走る習慣を取り戻していきたいと思います。



さて、本日のお話です。

昨日に引き続き、本日も
「フォロワーシップ」をテーマに
学びを深めてまいりたいと思います。


※参考論文は引き続き、

MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』
(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)

でございます。

それではまいりましょう!

タイトルは



【「フォロワーシップ」とは何か(その4)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:前編~】



それでは、どうぞ。



■フォロワーシップについて

昨日までのお話で

”フォロワーシップを考えるにあたっての
 いくつかの視点”
 
をお伝えしてまいりました。


・フォロワーシップは
 リーダーシップとセットで語られること
 
・ゆえに、フォロワーシップ研究という分野は
 リーダーシップ研究の中に組み込まれて論じられてきたこと
 
・その中でフォロワーシップ理論については、
 大きく以下の2つのアプローチ(考え方)がある


ということをお伝えしました。



■ほにゃらら研究とか、
ほにゃらら理論と呼ばれるものは、
実に広大です。

先人たちの軌跡に頭が下がる思いと同時に、
わけわかめ状態にもなりがちかもしれません。。。


、、、が、しかし
全体像を知ることで

「フォロワーシップとはなにかという
 世界地図が手に入る」
 
とも言えるかもしれませんし、
きっとそれは意味があること(のはず!)

かと思われます。



■ということで、今日は


昨日お伝えしました。
「フォロワーシップの2つのアプローチ」の中でも、


『役割ベースのフォロワーシップ』


を掘り下げてお伝えしたいと思います。


※詳しくは昨日のメルマガより↓↓
「フォロワーシップ」とは何か(その3)~フォロワーシップ研究の全体像はコレだ~
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4106165/



■ちなみに

「役割ベースのフォロワーシップ」とは
 こんな項目がございました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<役割ベースのフォロワーシップ_一覧>

1)「フォロワーシップ・タイポロジー」
2)「フォロワーシップ・ロール・オリエンテーション」(カーステン)
3)「暗黙のフォロワーシップ理論」(サイ)
4)「リーダーの行動の形成者としてのフォロワー」
5)「フォロワーシップ・ビヘイビア」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これらについて、
どんな事が研究されてきたのかを、
まとめてみます。


ただ、上記の1つ1つが濃密なので今日は

「1)フォロワーシップ・タイポロジー」
(フォロワーシップの特徴とスタイル)

についてまずはまとめたいと思います。

こんな内容でした。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<役割ベースのフォロワーシップ>
1)「フォロワーシップ・タイポロジー(特徴とスタイル)」 のまとめ

(説明)
・フォロワーの特性やスタイルを類型化する、という考え方。
 これまでも様々な研究者がそれぞれの類型化を行っています。
 

 類型化についてフォロワーシップの初期の研究で
 最も引用されているのが、以下、KELLEY(1988)の研究です。


◯KELLEY(1988)=「フォロワーを依存ー非依存、受動ー能動で4つの象限に分類」

 ・依存的ー非依存的、受動的ー能動的 の4つの象限を用いる
 ・そして、疎外的なフォロワー、模範的なフォロワー、適合的なフォロワー、受動的なフォロワー
  2つの次元の中間に位置するセンターグループ(プラグマティスト・フォロワー)とする

 ・効果的なフォロワーとは
  「自発的であること」「独立した問題解決者であること」
  「グループや組織にコミットしていること」の資質を持つ
 
 ・フォロワーには、受動的で依存的なステレオタイプの「羊」から
  能動的だが依存的な「イエス・ピープル」まで、
  リーダーが支持したことに盲目的に従うステレオタイプのフォロワーがいると指摘。
  
  すべてのフォロワーを、能動的で非依存的な「模範的なフォロワー」にすることを提唱し、
  最高のフォロワーとは、受動的な羊ではなく、積極的に関与し、
  勇気ある良心を示すフォロワーである、と主張した
 
**
 
  
・その他、以下のようなタイポロジー(特徴とスタイルの類型化)が
 登場してきました。以下、各研究の特徴をご紹介いたします。
 

◯アイラ・チャレフ(1995)=「勇敢なフォロワー」という考え方を提唱

・『The Courageous Follower』という本を出版。
 効果的なフォロワーシップとして、”勇敢であること”を重視した類型化の考え方。
 また、チャレンジが低いフォロワーのスタイルとして
「実行者」「パートナー」「個人主義者」「リソース」の4つを上げた
  
 (※先日「ザ・フォロワーシップ」として紹介した本の方です)
 https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4105251/
 
  
◯KELLERMAN(2008)=「フォロワーのエンゲージメントレベルにおいた5つのカテゴリ分け」をした 

・「なにも感じず、何もしない」から「情熱的に取り組み、深く関与する」までの5つのタイプを、
 「孤立者」「傍観者」「参加者」「活動家」「熱狂者」とした。


◯JEAN LIPMAN-BLUMEN(2005)=「なぜフォロワーは有害なリーダーに従うのか」を議論

・フォロワーには3つのカテゴリがあるとした
 1,良心的なフォロワー:騙されやすく有害なリーダーの言うことに疑うことなく従う
 2,リーダーの側近:毒舌リーダーの分身のような役割。リーダーのアジェンダにコミットする
 3,悪意のあるフォロワー:欲や妬み、競争心に駆られている人たち。リーダーに反抗し、失脚させようとする
  (おそろしや・・・・)


◯HOWELL AND MENDEZ(2008)=「フォロワーの役割志向の様々なタイプ」を類型化した

 1,リーダーシップの役割をサポートし、補完するインタラクティブな役割
  (献身的なフォロワーの場合もあれば、忠実な「羊」の場合もある)
 2,独立した役割としてのフォロワー
  (高いレベルの自律性と、高いレベルの能力が含まれる。例:エンジニア、医師、大学教授等)
 3,リーダーと対立して働く独立した役割志向
  (ネガティブなタイプ)
 4,リーダーとフォロワーの役割を交互にこなす「シフト型」
  (状況に応じて、リーダーシップを発揮したり、目立たないフォロワーになったりする)
  

※一部引用・著者編集

 MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)より

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■さて、いかがでしょうか。

読んでみても、とても広いですね(汗)

いずれによせ、


「1)フォロワーシップ・タイポロジー」
(フォロワーの特徴やスタイル)


の類型化の仕方だけでも、

・「ケリーの4象限(+センター)」
・「勇敢なフォロワー」としての類型化
・「フォロワーシップのエンゲージメントレベル」の5つのカテゴリ
・「なぜフォロワーは有害なリーダーに従うのか」の3つのカテゴリ
・「フォロワーの役割志向の様々なタイプ」の4つのカテゴリ

と様々な切り口があることは、
感じられたのではないか、

と思います。



■これらの切り口ですが、

・「理想的なフォロワーとはなにか?」
  という観点で見るのか

・「有害なリーダーに影響されないフォロワーとは何か?」
 という観点で見るのか、

・「フォロワーの志向からどんな分け方ができるのか?」
 という観点で見るのか、


同じフォロワーシップというカテゴリでも、
違った視点を与えてくれるように思います。



■そして、これは、

”「フォロワーシップ」を自分たちのこと”
として考える際に、とても大切なことだと私は感じました。



例えば、個人的な感想ですが、

官僚的、年功序列が強い組織に、
「勇敢なフォロワーが大事!」と声高にいっても
あんまり現実的ではないかもしれませんが、

「有害なリーダーに従うフォロワー」という観点で
自分たちが陥る可能性がある集団浅慮を考えると
現実的な議論ができるかもしれません。



組織やチームの現状に即して

フォロワーシップについても、
求めるものや望ましいもの、現実的なものも
きっと変わってくるのでしょう。



■と、すると、

ステレオタイプ的に、
1つの考え方だけに固執するのではなく、

色んな考え方、アプローチを知っておくことも
有効なのだろうな、、、

と感じております。


お勉強ばかりでもよろしくありませんが、
「参照枠」を広げることは、武器になる、

と思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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<本日の名言>

自分より賢き者を近づける術を知りたる者、ここに眠る。
(墓石に刻まれた言葉)

アンドリュー・カーネギー(米国の実業家/1835-1919)

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【編集後記】
月曜日に手帳を書くことを習慣にしていますが、
1週間のはじめに30分時間をとって「何を目標とするのか」を考えることは、
1週間の充実度を高める上で、めちゃくちゃ大事だな、と最近改めて感じております。

日々の振り返り、毎週の振り返り、やらなくても日々は進みますが、
密度が変わる代表的な「ジョブ・クラフティング」だと思います。
(と、先週サボったので痛感している、の巻です)


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