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令和4年2月14日(第2916号)
「フォロワーシップ」とは何か(その3)~フォロワーシップ研究の全体像はコレだ~
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2954字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
三連休でございましたね。
私はランニングをしたり、
ピアノのレンタルルームを借りて
妻と子供と楽器をいじって遊んだり、映画を観に行ったり、
休日的な過ごし方をしておりました。
また今日から一週間の始まりです。
楽しく、頑張りたいと思います!
*
さて、本日のお話です。
本日は先日に引き続き、
「フォロワーシップ」をテーマに
共に探求して参りたいと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「フォロワーシップ」とは何か(その3)~フォロワーシップ研究の全体像はコレだ~】
それでは、どうぞ。
■フォロワーシップ。
このお話、
掘り下げれば掘り下げるほど深く、
その世界に魅了(というか翻弄)されております。
そんな中、このフォロワーシップについて
「木を見て森を見ず」
にならないように、
「フォロワーシップ研究の全体像」
について、
掘り下げていきたいと思います。
参考論文は引き続き、
MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』
(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)
でございます。
■まず、フォロワーシップ理論ですが、
改めて定義を見ると、
「リーダーシッププロセスにおける
フォロワーと、フォローの性質と影響に関する研究」
とされるそうです。
なんのこっちゃ??
と思いそうですが
リーダーがいなければ、当然
フォロワーも存在し得ないわけです。
つまり
「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」は
セットになって初めて論じる事ができるわけです。
ゆえに、かつて多く議論されてきた
「リーダーシップ」のプロセスの中で語られる、
”フォロワー(その人の特性)と
フォロー(その行動)の性質と影響”
に焦点を当てることで、
フォロワーシップ研究の歴史も
紐解くことができる、
となります。
■そして、次いで
昨今の研究では、
”リーダーシップの中のフォロワーシップ”
(主がリーダーシップ、従がフォロワーシップ)
ではなくて
”フォロワーシップによってリーダーやチームが影響を受ける”
(主がフォロワーシップ、従がリーダーシップ、その他)
というアプローチも研究されてきました。
そのアプローチでは
フォロワーシップ理論は
大きく2つのアプローチに分けられる
とされています。
■まず1つ目のアプローチが、
『1)役割ベースのアプローチ』
(=ランクやポジションとしてのフォロワーシップ)
です。
フォロワーシップを、公式、または非公式の
地位やランクを持つ個人が果たす役割とみなす、
とのこと。
つまり、
”「上司と部下」という言葉で表現される
「部下」の役割がフォロワーシップ”
とみなして、その役割ベースから
掘り下げるアプローチです。
■2つ目が、
『2)構築主義的なアプローチ』
(=社会的プロセスとしてのフォロワーシップ』
とです。
これは何か、というと上記の
”上司ー部下”という役割から
紐解くのではなく、
”リーダーシップうんぬんも
リーダーとフォロワーの複合的な行為の中で、
共創される関係性の相互作用”
と捉える、という考え方です。
たとえばあるプロジェクトにおいて
部下の方がより専門性も高く、経験もあったとします。
すると、部下は肩書的には”部下”でも、
”その複合的な行為の中では
部下がリーダーシップを発揮し
マネジャーがフォロワーになる”
ということにもなります。
このように文脈の中で
自然に役割が”共創”されていくことを
社会的なアプローチ(構築主義的なアプローチ)としています。
(特にこのケース、実際の現場ではありますし、
ますます求められているように思います)
■そして、
これらの
「リーダーシップ研究からのフォロワーシップ」
↓
「フォロワーシップを主とした研究」
の系譜と紐づく理論が、
これまで多くの研究者によって語られてきました。
以下、論文で紹介されておりましたので、
こちらも皆さまにご紹介したいと思います。
※私もよくわからないのがままありますが、
「フォロワーシップ研究の歴史って
こういう感じの全体像なんだな、、、」
という空気を掴んでいただければと思います。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【リーダーシップ研究におけるフォロワーの扱い(全体像)】
<リーダーシップから”フォロワーシップ”を考えたアプローチ>
●リーダー中心(リーダーの影響力の受け手がフォロワー)
・「科学的管理」(テイラー)
・「リーダーの特性アプローチ」
・「リーダーの行動アプローチ」
・「コンティンジェンシー・アプローチ」
・「カリスマ的リーダーシップと変革的リーダーシップ」
●フォロワー中心(フォロワーがリーダーシップを構築する)
・「リーダーシップ幻想」
・「暗黙のリーダーシップ理論」
・「リーダーシップの社会的アイデンティ理論」
●リーダー・フォロワーの関係性(お互いに影響し合うプロセス)
・「コネクショニスト情報処理」(ロード)
・「カリスマ的関係」(ウェイター)
・「パワー理論」(フォレット)
・「リレーショナルビュー」(ホランダー)
・「リーダー・メンバー交換理論(LMX理論)」
・「炎のカリスマ」(クライン&ハウス)
・「トキシック・トライアングル」
他
**
<フォロワーシップの2つのアプローチ>
●役割ベースのフォロワーシップ
・「フォロワーシップ・タイポロジー」
・「フォロワーシップ・ロール・オリエンテーション」(カーステン)
・「暗黙のフォロワーシップ理論」(サイ)
・「リーダーの行動の形成者としてのフォロワー」
・「フォロワーシップ・ビヘイビア」
●構築主義的なフォロワーシップ
・「リーダーシップ・アイデンティティ構築プロセス」(DeRue & Ashford)
・「共同制作」(シャミア)
・「ポスト構造主義的アイデンティティ観」(コリンソン)
・「リレーショナル(ディスカーシブ)アプローチ」(Fairhurst & Uhl-Bien)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
、、、さて、まとめてみましたが、
見てみていかがでしょうか?
まとめた側の感想としては、
「多すぎ」
という1点でございます(汗)
正直、理論が多すぎて、
整理したつもりが、更なる迷宮に迷い込んでしまった気分。
複雑な心境です。
■、、、が
これらの膨大な観点、
膨大な先人たちの研究を見てみたときに、
色々な系譜を経て、
後半の
『役割ベースのフォロワーシップ』
『構築主義的なフォロワーシップ』
という、
2つのフォロワーシップの種類に
収斂してきたようにも感じられて、
この全体像を把握した上で、
「フォロワーシップ」なる世界を俯瞰することは
理解を深めて、そして実践につなげる上でも
一定の役立つのかな、とも感じます。
■複雑で、色んな視点
様々な流派(?)があるものは、
「全体で共通するもの、
骨格となるものを俯瞰して見る」
ことは必ずプラスになるはず。
そうすることで、
「フォロワーシップ」
もそうですし、その他の物事についても、
理解が進むと思いますし、
安易に表面に出ている食べやすい
湯葉的な部分だけをすくい取ることも
なくなるのかな、
などと思った次第です。
■、、、ということで、
明日も更にフォロワーシップの
奥深き世界を探求していきたいと思います。
(よろしければお付き合いくださいませ)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<本日の名言>
ものごとを正しく見るには、たった一つのやり方しかない。
ものごとの全体を見ることだ。
ジョン・ラスキン(イギリスの思想家/1819-1900)
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【編集後記】
最近、休日の過ごし方について、
色んなパターンが有ることを知りました。
3連休は映画にいきましたが、
乳幼児を連れて入ることができる映画館もあるようです。
そのシステムを利用して『鹿の王』という
上橋菜穂子さんの小説が原作のアニメ映画を
家族共々観に行ってまいりました。
色々と小さい子供連れでも楽しめることがたくさんあるようで、
もっと色々探したいな、と思った次第です。
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