配信日時 2022/02/07 17:53

ストレングス・コーチングの効果を紐解く(その2) ~コーチングの有効性を示すエビデンスとは?~【カレッジサプリ】

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令和4年2月7日(第2909号)


ストレングス・コーチングの効果を紐解く(その2)
~コーチングの有効性を示すエビデンスとは?~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3356字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日日曜日は、2ヶ月ぶりの
ピアノのレッスンでした。

習えば習うほど、不思議なもので
自らの下手っぷりを自覚します(汗)

でもこれが”学ぶ”ということかな、とも思います。

スタートラインやどの場所を走っているのかは
人によってまちまちですが、

何かを学んでいくというのは
その道における旅路において、

「自分が歩んでいる場所を正しく知り、
 ゴールまで距離を正しく認知する」
 
と言うことだと思います。

そういった意味で
自分のレベルを正しく知りつつある今日この頃。

楽しみつつ、粛々と練習を
続けていきたいと思います。


*

さて、本日のお話です。

本日は、先日のメルマガ

『ストレングス・コーチングの効果を紐解く』
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4097775/

の続きをご紹介したいと思います。


「強み」と「コーチング」。

この組み合わせは
人によっては全く興味がない(!)
内容かと思いますが(興味ない方、スミマセン!)、

とはいいつつ
現在のマネジメントの潮流において

”強みにフォーカスをする”
”1on1で成長の支援をする”

ことは、

人的資源を活用する経営的側面からも、
掘り下げていく価値が十二分にあるもの、

と捉えております。


ということで、
早速まいりましょう!

タイトルは



【ストレングス・コーチングの効果を紐解く(その2)
 ~コーチングの有効性を示すエビデンスとは?~】



それでは、どうぞ。



■コーチング、コーチングと
のっけから連発しておりますが、

コーチングの研修を
企業に提供させていただく中で、
このような質問にしばしば遭遇します。


「コーチングって、実際のところ
 どれくらい効果があるんですか?」
 

、、、というもの。



■コーチングを提供している人(私)に、

そのような質問をされること自体が、
やや挑戦的な質問である節もあります。


ゆえに、
直接そのように聞かれることは実際は少ないです。
(皆さん大人ということもありますし)

しかしながら、

特に理系バリバリで行われている
研究職のマネジャーの方など、
(嫌味ではなく純粋な興味として)
そのような質問が、時に投げかけられます。



■そんな時に私(紀藤)は、

「◯◯の業界のマネジャーに対しては
 アンケート結果から参加者の80%の方が
 成果につながったと回答いただきました」
 
とか

「具体的にはこのようなコメントを
 研修実施後3ヶ月ではいただきました」
 
と、ご紹介させていただくわけです。

それは

実際にそのようなデータもありますし、

提供している側としても、
確かに参加者に変化変容をもたらすと感じているので
その様な回答をさせていただいている、という次第。



■、、、しかし、です。

もうちょっと突っ込んでみて


”コーチングの成果を、研究として見た時に、
 成果があったと言えるのか?”


と問うと、どうなのでしょうか?


個人の体感値(紀藤の経験)等なら
「成果があった」といえても、

研究からの視点となると
ちょっとハードルが上がります。

なぜならば、

・目的変数と、説明変数の定義
 (何を成果とし、何が影響を与える要素かの定義)

・調査手法の信頼性

・数字で示せるのか、という客観的証拠
 
などが含まれるから。

自己申告を超えた客観的な調査にすると、
難易度がグッと上がってきます。



■そんな中で、2014年の論文となるのですが、

「コーチングの有効性に関するメタ分析研究」

として、Theeboomらが調査してみたのでした。

*

研究内容は、

107の論文をスクリーニングして、
「成果があった」と示せる論文を見つける、

という内容。

まず、

・横断的な研究
・プロの外部コーチによって行われていない研究
・定量的な分析が行われていない研究

を除外したところ、18件の研究が選択基準をクリアし、
(つまり、本当にコーチングの成果と言えるのか
 という論文だけ残したわけですね)
 
更に掘り下げて

・職場での実施
・被験者間の方法論
・自己報告以外のデータを収集したもの(定量的なもの)

という基準を満たすものを抽出したところ
わずか4件の研究のみであった、
(Bozer&Sarros2012)

とのことでした。


つまり、コーチング”研究”では

”自己申告や、複合的な研究で
 成果があったと報告されたものは多数あるけど
 
「客観的に成果があった」と示せる事例は
 まだまだ少ない”
 
と現状だったそうです。


論文を書くくらいですから、
専門家が107本もコーチングに関して
研究を重ねているのに、

残るのが「4本」というのは正直、
評価基準、キビシー、という感じです。。。




■また別の研究、
Smitherら(2003)によって行われた

「コーチングによって360度フィードバックの 
 パフォーマンス向上が改善されるのか」
 
という研究では、

”360度フィードバックを受けた上級管理職1202名のうち
 404人がコーチングを受け、その成果を評価する”
 
というものがありました。

すると、コーチングを受けた人は

・より具体的な目標を設定した
・より多くのアイデアを募るようになった
・他人の評価がより向上した

というポジティブな結果が報告されました。

素晴らしいですね。


*

、、、が、

研究を掘り下げていくと、
こんなツッコミが入りました。

・404人のコーチングを受けた人の
 選択基準がまちまちであったこと
(上司から参加を要求された人もいた)

・とすると、”選択効果”の影響も受けるため、
 純粋にコーチングの効果とは言えないじゃね?
 
となり、

「これも客観的に成果があったとは
 言い切れない」
 
となったのでした。



■他にも、こんな研究もありました。

教育現場における
エグゼクティブコーチングの研究(Grant2010)で、

・教師44名に、認知行動療法を中心とした
 コーチングセッションを実施

・実験群と対照群を分けて実施
(しっかりやってます)

としました。

結果は

・コーチングを受けた人の
 目標達成度と幸福度が優位に向上し、
 ストレスが減少した

・自己申告において
「建設的なリーダーシップスタイルが
 長期に渡って改善した」 
 
となったのでした。

これもまた素晴らしい!と
拍手したくなりました。


、、、が、

上司や同僚の評価を分析したところ

「建設的なリーダーシップに
 優位な差がなかった」

ということで、

「自己申告の域を越えて
 成果があったとは言えないよね?」
 
、、、と、やっぱり

”客観的な成果とは言えない”

となった、というお話でした。



■こんな風に

「コーチング研究」の研究、
いくつか並べてみて思ったことがあります。


それは


「成果となる基準、キビシー」


ということ。
(素人っぽい意見でゴメンナサイ)


多分、実際の企業研修では
ここまで厳密には測るところは
極めて少ないでしょう。


それは、

測定する時間的コスト、
人的コストが見合わないというのもあります。

(または、正直ぼんやりとさせておきたい、
 という意図もあるのかも)



■、、、ただ、

これらの研究者のある種のクリティカルかつ
ストイックな視点からは、
学ぶことがある、と感じます。

*

例えば、ツッコミ(質問)として


「その結果は、本当にコーチングの成果なの?」

「他の要因を変えずに、
 コーチングの要因だけ切り取った時に
 何に対して、どのような影響があったの?」

「それは数字で測れるものなの?」


、、、と、

もし自分が追求されたら、
ちょっとイヤだなあ、と思いそうなことを、
細分化し、追求していく姿勢。


その様な研究・探求の姿勢は、
正直、骨が折れるものです。

まあ、これくらいでいいのじゃね?
と素人からすると思いそうです。


でも、それでもなお
批判的かつ、深く掘り下げる視点で
研究がなされるからこそ、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1、どのような要素が、
  どのような結果にインパクトを与えるのかが
  明確になる
 
2、それらを積み重ねることで
  再現性・汎用性がある理論と手法が確立される

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

という、

多くの人が使える武器として
昇華されることになるのだろう、

と思うのです。



■安易に「成果」と捉えず、

本当にそうなのか、
他の視点はないだろうかと考え、

深めていく。


そんなことの大切さを、
この論文から学ばされている気がしましたし、

そういった研究者の視点があるからこそ、
今、活用できる理論になっているんだなあ、

と先人たちの功績に
改めて尊敬の念を覚えた次第です。




■、、、ということで、明日は
そんなクリティカルな視点の先にある

「強みにフォーカスをしたことは
 変革型リーダーシップに影響を与えた」
 
という研究の詳細を
引き続きお伝えしてまいりたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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<本日の名言>
自分が感じていることは正しくないかもしれない。
だから、常に自分をオープンにしておくんだ。
あらゆる情報や、たくさんの知識を受け入れられるように。

アイルトン・セナ(ブラジルのレースドライバー/1960-1994)
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【編集後記】
大学院1年間が終わりを迎えようとしているので、
また「大学院おすそわけ勉強会(1年生の総集編)」やろうかな、
と思っております。今思い付きました。

こういった企画をしているときが、一番ワクワクしますね。
大学院に入った原点を、改めて思い出しつつあります。


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