配信日時 2022/02/04 12:31

ストレングス・コーチングの効果を紐解く(その1)~オーストラリアの研究のご紹介~【カレッジサプリ】

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令和4年2月4日(第2906号)


ストレングス・コーチングの効果を紐解く(その1)~オーストラリアの研究のご紹介~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2356字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

さて、本日より新シリーズ

『「強み」と「コーチング」』

をテーマにお届けしたいと思います。

日本でも「1on1」という言葉で
注目されているように、
コーチングの効果は、市民権を獲得しつつあるようにも感じます。

また「強みにフォーカスしたマネジメント」という視点についても、
同様に、少しずつ認知されてきているようにも思います。


今日はその中でも、

「強みにフォーカスをしたコーチングが
 リーダーシップ行動にどのような影響を与えるのか」

について研究をした論文がありましたので
そちらのご紹介をさせていただければと思います。


タイトルは



【ストレングス・コーチングの効果を紐解く(その1)~オーストラリアの研究のご紹介~】
 
 
 
それでは、どうぞ。



■「コーチング」という言葉も、

おそらくメルマガをお読み頂いている方であれば
なんとなくご認識頂いているかもしれません。

実際に、ビジネスシーンでの
コーチングの活用は益々活発になっていますし、
その影響は、私も肌身で感じております。


そして、その中でも


『「ストレングス・ベースのコーチング」が
 (強みにフォーカスをしたコーチング)

 エグゼクティブのリーダーシップ行動に
 どのような影響を与えたのか』
 

に着目した論文があります。


※オーストラリアのダグ・マッキー博士(CSAコンサルティング)による

『THE EFFECTIVENESS OF STRENGTHBASED EXECUTIVE COACHING IN ENHANCING FULL RANGE LEADERSHIP DEVELOPMENT_A CONTROLLED STUDY』(2014)
(ストレングス・ベースのエグゼクティブ・コーチングが、フルレンジリーダーシップ開発を強化する上での影響:対照研究)

という論文です。



■この研究は以下のような目的・方法で、
実施をされました。

以下、まとめます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<調査目的>

・ストレングス・ベースのコーチングが

・360度フィードバックで測定された
「変革型/取引型リーダーシップ行動」に対して与える影響を

・被験者間の非等価対照群デザイン(介入群と対照群をわけて実施)
 を用いて調査する 


<対象者>

・大規模な非営利組織の役員、及び上級管理職37名


<方法と手順>

1、コーチングを受けるグループと待機するグループを
  無作為に振り分けた
 
2、コーチングを受けるグループでは、
  ”リーダーシップと強みに関するフィードバック
  目標設定、強みの開発を含む6セッションのリーダーシップコーチング”
  が行われた
  
3、コーチングの実施方法は、介入を行う11名のエグゼクティブコーチ間で、
  方法論的な一貫性を確保するため、マニュアル化した
  
4,3ヶ月にわたる6回のコーチングの後、
  コーチングを受けるグループと、待機グループは
  役割を交代した
  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



■そして、「結果」としては、


・コーチングを受けた参加者は、
 変革型リーダーシップ行動が増加した
  
・この違いは組織のあらゆるレベル(上司・同僚・部下等)で認識されたが、
 参加者本人は認識していなかった


ことがわかりました。


そしてこの結果を読み解いた示唆として

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ストレングス・ベースのコーチングの手順は、
 変革型リーダーの育成に有効である』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
ことが示唆されたという論文の内容です。



■ちなみに、この研究の意義は、

(アカデミックな分野で)

「依然として議論がある
 効果的なコーチングとは何か?」
 
について考察をした点が
挙げられるようです。


、、、というのも、

コーチングはリーダーを育成するための
有効な方法論の一つであるものの
以下の課題がある、とされています。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<コーチング研究の課題>

1,確立された普遍的なコーチングの方法論がないため、
  コーチングの提供に一貫性をもたせることが困難

2,潜在的な成果の範囲が広く、研究間での比較がほとんど不可能
 (ゆえに、自己報告された成果に焦点が当てられる)
 
3,コーチングを受ける人(クライアント)によって、
  能力、モチベーションなどが違っているため、
  コーチングの効果を示す変数を特定することが難しい
  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
※1)について言えば、
 確かに、傾聴・承認・質問・フィードバック等
 基本的な”型”はあっても、流派によって異なる印象があります。
 
 仮にコーチングの流れは大雑把に同じだとしても、
 詳細の部分はコーチの経験値やクライアントとの関係性に
 委ねられている要因も多分にあるため、
 研究としては観察をすることが難しいのでしょうね。。。 

 また、2)についても、組織のどの側面に、
 どの様な影響があったのかを客観的に見極めるのは、
 なかなか難しいようです、
 
 そして、3)に対しても、
 人によって”目標設定”に課題があるのか
 ”自己認識”に課題があるのか、”現状分析”に課題があるのか、
 人によってコアな課題が形を変えて存在しているので、
 
 「これがコーチングにおいてフォーカスする変数だ!」
 と確立することが難しいのだろう、と思われます。
 
 

■その中で、今回のストレングス・ベースのコーチングは、


・成果の中核となる基準=「リーダーシップの開発」

・方法論=「ストレングス・ベースのプロトコル(手順)」


として明確にすることで、

”ストレングス・ベースのコーチングが
 リーダーシップ開発に対して
 どの様な影響を与えるのかを考察する”

ことを調査した内容になります。


読み解いてみたところ、
実に興味深い内容でございましたので、

(私がコーチングの資格、
 ストレングス・ファインダーのコーチの資格等で
 生業にしていることもありますが)
 
明日からもこの論文の内容を
詳細にご紹介して参りたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

あらゆる者が強みによって報酬を手にする。
弱みによって、人は何かを成し遂げることはできない。
ピーター・ドラッカー

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【編集後記】
この論文は、Gallup社(ストレングスファインダーを出しているところ)ではないところで研究されているのがまた説得力を感じます。
ストレングス・リーダーシップという分野もまだまだ研究の途についたばかり(らしい)ですが、
掘り下げてみると色々見えてきそうで楽しみです。
2月は学びまくりたいと思います。贅沢な時間です。

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