配信日時 2022/01/03 06:08

問題を捉える5つの思考法(『問いのデザイン』より)【カレッジサプリ】

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令和4年1月3日(第2874号)


問題を捉える5つの思考法(『問いのデザイン』より)


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2361字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は茨城の妻の実家から
東京に戻ってまいりました。

また夜から新年一発目の
研修企画にミーティングでした。



さて、本日のお話です。

先日に引き続き、

『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』
安斎 勇樹  (著), 塩瀬 隆之  (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4761527439/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_P4MRWY7KSP30SBMSW9T0

より

問いかけの技法について
学びを共有させていただければと思います。

長らくこの本を取り上げさせて
いただいておりますが、

一冊の本には、
著者の経験を結晶化させるべく
練りに練った言葉や概念がまとめられています。

それらの経験を
自分でゼロから考えることは
難しくても、

一つ一つ精読していくことで
”自分のものとして消化させていただく”
ことは可能です。

(私は、理解力があまりある方ではないので、
 こうしてメルマガなどでいちいち言葉にしないと、
 
 書籍で書いてある内容を
 深く理解することはできません。
 
 という意味で、偉大なる先人に感謝しつつ、
 今日も引用させていただきます)
 
 それでは参りましょう!

タイトルは、



【問題を捉える5つの思考法(『問いのデザイン』より)】



それでは、どうぞ。



■一つの問題を考える上で、

「デッドロック状態」

になることがあります。


※デッドロックとは・・・
 ゆきづまり、停滞、硬直状態の意


例えば、

「1on1の導入をするには
 どうすればよいか?」

というテーマ(問題)が
あったとします。
 
しかし、1on1、1on1と頭の中で唱えたり
皆で豆粒を見るように1点を見て話をすると

新しい視点が得られずに
同じような議論を繰り返し、
同じ話を言ったり来たりする

…極端に言えば、
そんなイメージかもしれません。



■複数人で話をしていれば、

多様性がもたらす
集団ダイナミクスによって
話が硬直化するリスクは少ないものの、

もし一人であったとしたら、
それこそ思考パターンは
ワンパターンに集結しがちです。


ゆえに、

『問題の本質を捉える思考法』

を持っておくと、

対個人としても、
深く考えるべき問題に出会った際に、
有用ではなかろうかと思いますし、

あるいは、

人材・組織開発の担当者
マネジメントに関わる方であれば

組織で起こる問題の本質を
掘り下げる上で役に立つのでは、

と思います。



■ということで以下、
ご紹介させていただきます。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<問題を捉える思考法>


(1)素朴思考:

 問題状況に対して素朴に向き合い、
 問題を掘り下げていく考え方。
 
 「素朴な疑問」というように、
 「これってなんだろう?」「どうして?」と好奇心を持ち、
 ふと湧き上がった何気ない疑問を投げかけながら、
 問題の輪郭を掘り下げていく。
 
 (例:そもそもなぜ1on1って何なのだろうか?
  上手く言っている1on1には、どんなやり方があるのだろうか?)


(2)天邪鬼思考:

 素朴思考とは逆に、目の前の事象を批判的に疑い、
 ”ひねくれた視点”から物事を捉える思考法。
 
 合理的に正しいとされている意見を疑ったり、
 多数派に同調せずにあえて反対したりすること。
 
 ※『デビルズアドボケート(悪魔の代弁者)』と、
 ディベートであえて多数派に批判する人・反対する人のことを
 呼びますが、似ている考えかと思います。
 
 (例:別に1on1じゃなくてもいいんじゃないの?
   他の施策を考えればいいのでは?)


(3)道具思考

 「道具」(=自分以外の人・モノ・知識など)を活用して、
 課題を定義するヒントを得る思考方法。
 
 ※ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキーは

 人は「ひとりでできる領域」と
 「他者の助けがあればできる領域」の差分を、
 『最近接発達領域(ZPD)』と呼びました。
 
 「他者の助けがあってできる領域」とは
 ”補助輪があれば自転車に乗れる”、みたいなもので
 そこには「道具」(ここでは補助輪)の媒介があります。
 
 道具思考は、自分(主体)が持っていない「道具」
 (=関連しそうな知識、別の角度の専門分野の考え方)
 を活用し、思考の枠を広げてみては、という発想です。
 
  (例:1on1の専門家、他社の人事担当を招聘して
    ディスカッションに加わってもらう)
    
    
(4)構造化思考

 問題状況を構成する要素を俯瞰し、構成要素同士の
 関係性について分析・整理し、問題を構造的に捉える
 考え方のこと。
 
 複雑な問題であればあるほど、問題を引き起こしている
 要因には、複数の要素が絡んできます。
 
 すべての要素に目を向けることが困難だったとしても、
 適切な課題を定義するために、重要度の高い要素について
 すべて外観し、要素同士がどのような影響をお互いに
 与え合っているのかを確認しておくことです。
 
 (例:1on1を導入するにあたっての、
   仕事のアサインの偏り、マネジャーの負荷、
   評価制度、報酬制度とのバランス、など
   導入を阻害する要因とつながりを構造化する)


(5)哲学的思考

 問題解決の場面において最も恐るべきことは、
 視野狭窄になり、中長期的な視点や深く考える思考態度を
 失ってしまうこと。
 
 哲学的に考えるとは、
 「さまざまな物事の”本質”を捉える営み」
 とされており、
 
 問いを共有する人たちと対話する中で、
 「確かにそれ物事の本質かもしれない」という
 共通理解に到達することを行います。
 
 現象学で、このような洞察を『本質観取』と
 呼ぶそうです。
 
 (例:対話とは何か?
   組織で働くとはどういうことか?
   上司に求められることとはなにか?等)
 
 
※安斎 勇樹, 塩瀬 隆之『問いのデザイン -創造的対話のファシリテーション』学芸出版社
 より一部引用、(※)と例は、著者作成・編集
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


■いかがでしょうか。

問題を捉えるときに、
私たちも様々な視点から

ああでもない、
こうでもないと考えますが

このように思考の捉え方について
分類分けをして、タグ付けをすることで

(1)素朴思考
(2)天邪鬼思考
(3)道具思考
(4)構造化思考
(5)哲学思考

をそれこそ「道具」として使うことで、
(まさに道具思考)

自分の発想にはなかった問いを
上手に投げかけることも可能になるのでは、
(まさに最近接発達領域ですね)

と思います。


ご参考になれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人間は、その答えではなく、
むしろ問いによって判断せよ。

ヴォルテール

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【編集後記】
茨城は実に寒かったです。
マンションがいつも温かいことに感謝するとともに、
日光への旅を含めて、冬を感じた年末年始でした。
「こういった寒さも含めて、四季って良いですね」と
いつぞやか義父につぶやいたら、
「それはたまにだからだよ」と言われたのが思い出されます。
ずっと寒いと、やっぱり大変なのかなあ、と思ったり。
都会に慣れきってしまった証拠かもしれません。


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