配信日時 2021/10/27 06:06

「理念経営の実践」は、企業パフォーマンスにどう影響しているのか【カレッジサプリ】

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令和3年10月27日(第2806号)


「理念経営の実践」は、企業パフォーマンスにどう影響しているのか


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2105字/読了時間2分)


■おはようございます。紀藤です。


さて、本日のお話です。

最近「理念経営の実践」について
大学院でもテーマとしていることから

色々と論文を読む機会も
増えております。

今日は上記のお話について、
とある論文からの学びを
ご共有させていただければと思います。

それでは早速参りましょう!


タイトルは、



【「理念経営の実践」は、企業パフォーマンスにどのように影響しているのか】



それではどうぞ。



■「経営理念」の大切さは、
しばしば耳にするものですね。

例えば、

・何のために我々が存在するのか?
(経営理念、ミッション)

・どのような未来を我々は実現するのか?
(ビジョン)

・そのために何を行動として大切にするのか?
(行動規範)


等、呼び名は違えど、
会社には存在しています。


そして、それらを
細かく規定している会社もあれば、
そうではない会社もあります。


また、それらを
事あるごとに振り返る会社もあれば
そうではない会社もあります。



■では、

”「理念経営」を実践している会社と
 実践してない会社”
  
では、企業のパフォーマンス(業績)に
どのような影響があるのでしょうか?


つまり、

”「理念経営」とは、経営に資するのか?”

ということで、

もっと露骨に言えば

”「理念経営」で、儲かるのか?”

というお話。

(もちろん経営は利益だけではありませんが、
 利益がなければ継続も出来ませんので)



■このことについて、
ある論文がテーマにあげており、
その内容が興味深いものでした。


※本日の内容は以下論文を
引用・参考にしています。
 
北原和成『企業における経営理念と企業パフォーマンスとの関係』
 
 
 
この研究では、

1,売上高営業利益率 上位企業2社と下位企業2社を
  28業種ごとに抽出

2,経営理念と企業パフォーマンスとの関係について、
  データによる実証分析
  
を行いました。



ちなみに「経営理念」のメリットは

・企業が継続的な活動を行う上で
「経営理念」は従業員の求心力を高めるため

・不正を容認する企業風土を避けるため

にも注目すべき要素として
考えられているものですが、

実際、どのような影響があるのか
あまり明確にはなっていない、

では、解き明かそうではないか、

…というのが
研究の目的とのこと。



■そして論文の筆者は、
以下のような仮説を立てました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<経営理念に関する仮説>

”経営理念に

 ・行動を規定する要因を入れ、
 ・3段階以上の経営理念を有し、
 ・経営理念の提示方法を個別にしている
 
 「理念経営の実践」企業は
 そうではない企業と比較して企業パフォーマンスが高い”
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


とのこと。



■そして分析したところ、
以下のことがわかりました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<仮説に対する分析結果>


1)「経営理念の有無」:

 利益率上位企業のほうが、利益率下位企業より
 「経営理念」を持っていた
 
 
2)「行動規定要因の有無」:

  利益率上位企業のほうが、利益率下位企業より
 「行動を規定する経営理念」を持っていた

 (※行動指針などを定めている)
 

3)「段階性の有無」

 利益率上位企業のほうが、利益率下位企業より
 「経営理念の段階」が多かった

(※ミッション、ビジョン、行動指針のように、
  段階的に経営理念を持っている)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

とのこと。
   
つまり、

”利益率上位企業は
 「理念経営を実践」している割合が高い”

と、この研究の中では言えた、
ということ。


じゃあ、

「理念経営をすれば、利益があがるか?」

という逆の相関については、
ここでは触れていないようですし、

それ以外の要素が多分にあることが
推察されるため、わかりません。



■しかしながら、

”28業種の
 売上高営業利益率 上位企業2社と下位企業2社”

を理念経営の実践状況から差が見られた、

ということは興味深く、

「経営理念の大切さ」を
感じさせられる、

と私は感じました。



■この論文は、

業界の上位2社等であり、
四季報を元にデータを抽出しているため、

「大企業における研究」

です。

中堅企業、中小企業については
また別の話になってくると思います。

ゆえに、

「理念バンザイ!」
「理念さえあれば何でもOK」

みたいな雑な話ではありません。
(当たり前ですけど)



■ただ、組織が大きくなるほど、

”何を目的に、何を大切にして、
 自分たちがこの会社を継続しているのか”
 
を皆が考えるための言葉、
考える機会というのは重要であり、

利益率が高い企業の、
一つの要因としては考えてもよいのかな、

と私は思いました。



■そしてこの論文を読みつつ思ったこと。

今、

・リモートワークも増えて、
 組織内の人と人の関係も
 変化をしてきたこと

あるいは

・100年時代、と言われるように
 キャリアも組織内で必ずしも積み上げるものではない、
 という考えも拡がってきたこと(特に若手において)

そんな中で、


”なぜ何のために会社が存在するのか”

”なぜ我々は共にいるのか”


は、働く人の心を引きつける磁石のような
求心力の一つであろう、と思いますし

また仲間を仲間たらしめている
大切なものなのであろう、

とも思います。


…とすると、

時代が変化して、
ずっと働き続けるとは限らない今だからこそ、

”経営理念を言葉にする”

ことは大切なのだろう、
と思った次第。



■改めて、私も零細企業ながら、
関わっていただく方もいる中で、

「何のための会社なのか」

を考えていきたい、と
思った次第でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

さあ、諸君。
のちに世界中が語ることになるかもしれない何かを、
今日しようではないか。

カスバート・コリングウッド(イギリスの海軍提督/1748-1810)

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【編集後記】
昨日はダイバーシティをテーマとした
ストレングス・ファインダー研修の実施でした。
改めて「強み」に目を向けることの大切さ、感じた1日です。
11月まで駆け抜けどき。がんばります。


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