配信日時 2021/10/04 17:48

プロフェッショナルは2つの知性を持つ ー「科学知」と「臨床の知」ー【カレッジサプリ】

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令和3年10月4日(第2783号)


プロフェッショナルは2つの知性を持つ ー「科学知」と「臨床の知」ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2002字/読了時間2分半)


■こんにちは。紀藤です。

昨日日曜日は
コーチングのフィードバック(受ける方)、
また1件の打ち合わせでした。

その他、近所に家族で散歩など。



さて、本日のお話です。

立教大学大学院
リーダーシップ開発コースにて
秋学期の授業が始まっています。

その中の学びで、

「人材開発・組織開発のプロは、
 2つの知性の融合が必要である」
 
という学びを得て、
その内容が実に納得するものでした。

今日はそのお話から
学びと気付きを皆さまに、
ご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【プロフェッショナルは、2つの知性を持つ ー「科学知」と「臨床の知」ー】



それでは、どうぞ。



■理論と実務の知識は
それぞれ似て非なるものです。


まず、大変パワフルな
知識・知恵の一つが、

『科学知』

です。


「科学知」とは

1)客観主義(=対象とは距離を起き、対象を等価とみなす)
2)論理主義(=因果と言葉で全て説明がつく)
3)普遍主義(=どんな場面でも適用できる)


を表し、”普遍的な理論”を見つけます。

つまり、

N=100とか1000

というように、
対象をひとまとまりとして見て、

かつ

X=Y

というように
”普遍的な答え”を見ていきます。


実証研究などを経て
見つけ出した「理論」があるので

”成功確率の高い道筋(戦略)”

を描くのに大変役立ちます。


例えば、

・職場における1on1を実施することは
 若手社員の職務満足に肯定的な影響を与える
 
というのは、

職場学習論において、
実証されている一つの結果であるわけです。


ゆえに「科学知」を知ることは、
めちゃくちゃ重要なのです。

この武器なくして、
プロフェッショナルとは呼べません。



■、、、では、
この「科学知」のみ知って、
活用すればいいのか?

というと、そんな
単純な話ではありません。


こと人材開発・組織開発で言えば
シャバはもっと複雑です。

機会と違って、
プログラミング通り動くのが
”人間の心”ではないのです。


”自然科学”の場合、

ほぼ100%どんなときでも証明されないと
「統計的に証明された」と言えない一方、


”人文・社会科学”では

よくて30-40%程度証明できたら
「統計的に証明された」と言っている

みたいな話を聞いたことがありますが
まさにそんなかんじ。



■人や、人の集合である組織とは

その個別の状況で、
1つ1つ異なっているものです。


N=100、1000で、

・職場における1on1を実施することは
 若手社員の職務満足に肯定的な影響を与える
 
という

”統計的有意な結果”が
出ていたとしても、

状況が違っていたら
当てはまらないことだってあるかもしれない。


例えば、

・上司と部下の間に、
「拭い去れないような遺恨」がある

とか、

・評価制度との1on1の整合性がなくて
 やる意味が全く伝わってない
 
などなど。


その個別の状況によって
N=100、1000で正解だったことが、
機能しなくなることだって大いにあるわけです。



■そこには、

”N=1”

として、

それぞれの固有の背景をもった
個人や組織が、そこにいるのです。


そして、そのような
個別の事情に配慮した「知」が

『臨床の知』

と呼ばれています。


1)個別個別の事情、文脈に配慮する
2)物事の多義性を理解し、意味探索につきあう
3)研究対象と関わり、相互作用する


などです。



■そして、

”望ましい結果を生み出す
 プロフェッショナル”
 
とは、まさにこのような


『「科学知」と「臨床の知」の融合』


にこそあるのでは、と思っています。


「科学知」を持って、

N=100、1000という
”成功確率が高そうな道筋(戦略)”を
理論や先行研究から描きつつ、


同時に

「臨床の知」を持って、

N=1という、
”個別の文脈”に対応した施策を
実践知、経験値から導き、

目の前の顧客と相互作用を与えながら
共に進んでいく。


『「科学知」と「臨床の知」の融合』


こそ、プロの実践者として
必要なスタンスなのだろう、

と思ったのでした。



■今、紀藤が通っている


立教大学 大学院 リーダーシップ開発コース
https://ldc.rikkyo.ac.jp/


では

「理論的実践家」
(アカデミックプラクティショナー)

を育成するカリキュラムが
組まれています。



そこで学べば学ぶほど、

理論や先行研究、
過去の偉人たちの知恵という

【科学知】

の重要性を知ります。


『よい理論ほど実践的なものはない』

という言葉があるように、

既にわかっている
宝物のような知識・知恵を手に入れずして、
プロフェッショナルは語れない、と痛感させられます。


同時に、それだけ知っていても足りない、
とも思うのです。


【臨床の知】


として個別の人と組織と向き合い、
影響を与え合うことを知る。


やはり「2つの知の融合」こそ、
プロフェッショナルと言えるのだろう、

と感じております。



■そしてこれは、

一部の研究者を除いて

「専門分野を活用した実践家」
(人事、経営、マーケター、営業などなど)

にも、同じように、
当てはまるかと思います。


・理論と実践
・研究室と現場

この両面を抑える姿勢を持ち、
自らが学び続けること。


プロフェッショナルとして
とても大切な姿勢だろう、

そんなことを強く思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

他の人の書いたものを読んで、自己を向上させよ。
他の人が苦労して得たものをそれで容易に得ることができる。

ソクラテス(古代ギリシャの哲学者/BC469-399)

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【編集後記】
最近、洋書を手軽に翻訳する方法を見つけました。
これで海外の翻訳されていない専門書も読める(はず)。
便利な時代になりました。

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