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令和3年10月4日(第2783号)
プロフェッショナルは2つの知性を持つ ー「科学知」と「臨床の知」ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2002字/読了時間2分半)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は
コーチングのフィードバック(受ける方)、
また1件の打ち合わせでした。
その他、近所に家族で散歩など。
*
さて、本日のお話です。
立教大学大学院
リーダーシップ開発コースにて
秋学期の授業が始まっています。
その中の学びで、
「人材開発・組織開発のプロは、
2つの知性の融合が必要である」
という学びを得て、
その内容が実に納得するものでした。
今日はそのお話から
学びと気付きを皆さまに、
ご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【プロフェッショナルは、2つの知性を持つ ー「科学知」と「臨床の知」ー】
それでは、どうぞ。
■理論と実務の知識は
それぞれ似て非なるものです。
まず、大変パワフルな
知識・知恵の一つが、
『科学知』
です。
「科学知」とは
1)客観主義(=対象とは距離を起き、対象を等価とみなす)
2)論理主義(=因果と言葉で全て説明がつく)
3)普遍主義(=どんな場面でも適用できる)
を表し、”普遍的な理論”を見つけます。
つまり、
N=100とか1000
というように、
対象をひとまとまりとして見て、
かつ
X=Y
というように
”普遍的な答え”を見ていきます。
実証研究などを経て
見つけ出した「理論」があるので
”成功確率の高い道筋(戦略)”
を描くのに大変役立ちます。
例えば、
・職場における1on1を実施することは
若手社員の職務満足に肯定的な影響を与える
というのは、
職場学習論において、
実証されている一つの結果であるわけです。
ゆえに「科学知」を知ることは、
めちゃくちゃ重要なのです。
この武器なくして、
プロフェッショナルとは呼べません。
■、、、では、
この「科学知」のみ知って、
活用すればいいのか?
というと、そんな
単純な話ではありません。
こと人材開発・組織開発で言えば
シャバはもっと複雑です。
機会と違って、
プログラミング通り動くのが
”人間の心”ではないのです。
”自然科学”の場合、
ほぼ100%どんなときでも証明されないと
「統計的に証明された」と言えない一方、
”人文・社会科学”では
よくて30-40%程度証明できたら
「統計的に証明された」と言っている
みたいな話を聞いたことがありますが
まさにそんなかんじ。
■人や、人の集合である組織とは
その個別の状況で、
1つ1つ異なっているものです。
N=100、1000で、
・職場における1on1を実施することは
若手社員の職務満足に肯定的な影響を与える
という
”統計的有意な結果”が
出ていたとしても、
状況が違っていたら
当てはまらないことだってあるかもしれない。
例えば、
・上司と部下の間に、
「拭い去れないような遺恨」がある
とか、
・評価制度との1on1の整合性がなくて
やる意味が全く伝わってない
などなど。
その個別の状況によって
N=100、1000で正解だったことが、
機能しなくなることだって大いにあるわけです。
■そこには、
”N=1”
として、
それぞれの固有の背景をもった
個人や組織が、そこにいるのです。
そして、そのような
個別の事情に配慮した「知」が
『臨床の知』
と呼ばれています。
1)個別個別の事情、文脈に配慮する
2)物事の多義性を理解し、意味探索につきあう
3)研究対象と関わり、相互作用する
などです。
■そして、
”望ましい結果を生み出す
プロフェッショナル”
とは、まさにこのような
『「科学知」と「臨床の知」の融合』
にこそあるのでは、と思っています。
「科学知」を持って、
N=100、1000という
”成功確率が高そうな道筋(戦略)”を
理論や先行研究から描きつつ、
同時に
「臨床の知」を持って、
N=1という、
”個別の文脈”に対応した施策を
実践知、経験値から導き、
目の前の顧客と相互作用を与えながら
共に進んでいく。
『「科学知」と「臨床の知」の融合』
こそ、プロの実践者として
必要なスタンスなのだろう、
と思ったのでした。
■今、紀藤が通っている
立教大学 大学院 リーダーシップ開発コース
https://ldc.rikkyo.ac.jp/
では
「理論的実践家」
(アカデミックプラクティショナー)
を育成するカリキュラムが
組まれています。
そこで学べば学ぶほど、
理論や先行研究、
過去の偉人たちの知恵という
【科学知】
の重要性を知ります。
『よい理論ほど実践的なものはない』
という言葉があるように、
既にわかっている
宝物のような知識・知恵を手に入れずして、
プロフェッショナルは語れない、と痛感させられます。
同時に、それだけ知っていても足りない、
とも思うのです。
【臨床の知】
として個別の人と組織と向き合い、
影響を与え合うことを知る。
やはり「2つの知の融合」こそ、
プロフェッショナルと言えるのだろう、
と感じております。
■そしてこれは、
一部の研究者を除いて
「専門分野を活用した実践家」
(人事、経営、マーケター、営業などなど)
にも、同じように、
当てはまるかと思います。
・理論と実践
・研究室と現場
この両面を抑える姿勢を持ち、
自らが学び続けること。
プロフェッショナルとして
とても大切な姿勢だろう、
そんなことを強く思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
他の人の書いたものを読んで、自己を向上させよ。
他の人が苦労して得たものをそれで容易に得ることができる。
ソクラテス(古代ギリシャの哲学者/BC469-399)
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【編集後記】
最近、洋書を手軽に翻訳する方法を見つけました。
これで海外の翻訳されていない専門書も読める(はず)。
便利な時代になりました。
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