配信日時 2021/07/25 23:55

今週の一冊『学校と社会』(前半)【カレッジサプリ】

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令和3年7月25日(第2712号)

今週の一冊『学校と社会』(前半)


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1995字/読了時間2分半)

■こんにちは。紀藤です。

オリンピックをiPadで見つつ
大学院のレポートを進めていた週末でした。
テストを休んだのでレポートが重たかったです(涙)。



さて、早速ですが本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は

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『学校と社会』(前半)

デューイ (著), 宮原 誠一 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4003365224/ref=cm_sw_r_tw_dp_83M7Z1V2JBCQCSS7Q3DV

========================

です。



■大学院の授業にて

「人材開発・組織開発に通ずる
 哲学者の著書を読み、まとめる」
 
という課題が出ました。

そして、その中で
読むことになった本が
今日ご紹介する一冊です。

出版社は岩波文庫。
著者は哲学者デューイ。

、、、もう、読む前から
濃厚さが伝わってきます(汗)



■正直、さほど興味はなく
(紹介しておきながらスミマセン)、

「、、、とはいえ
 読まなきゃいけないし読むか」

くらいのテンションで読み進めましたが、
これが意外に面白い!

さすが名著です。

この本の原書の初版は1900年ですが
色褪せる事ない考え方である、と思わされます。



■今、我家には
生後6ヶ月の子供がおりますが、

今後の教育の上でも使えそうだ!と思って
読んだ内容を妻に聞かせていたら、

「確かに、大事な考え方だね」
「だよねー」

とお互いに納得しておりました。



■さて、では本書は
一体どんな内容なのか?

これを見ていきたいと思います。

、、とその前に著者の「デューイ」とは
どんな人物なのでしょう。

少しだけ解説です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ジョン・デューイ(John Dewey)
(1859年10月20日 - 1952年6月1日)

は、アメリカ合衆国の哲学者。
”プラグマティズム”を代表する思想家。

また米国では機能主義心理学に貢献したことでも知られている。
20世紀前半のアメリカ哲学者のなかでも代表的且つ
進歩的な民主・民衆主義者だった。

※Wikipediaより抜粋し編集
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とのこと。



■まあ、哲学者ということはわかりますが、
気になるのが、

”「プラグマティズム」を代表する思想家”

とのことですが、
ここがまたまた気になります。



ちなみに、「プラグマティズム」とは、

ギリシア語で「行動」や「実践」を意味する
「プラグマ」に由来して生まれた言葉とされます。

”物事の真理を「理論や信念からはなく、
 行動の結果によって判断しよう」という思想”

とのこと。


ものすごーく平たく言うと、

”『実際に役立つかどうか』を重要と考える思想”

と言うようです。

(本当はもっと深い話ですので、
 あくまでもイメージとして、、、)
 
 
■そんなデューイが
この『学校と社会』にて、

伝統的な教育を批判し、
「学校のあるべき姿」を語ります。

そしてそれは、

暗記や試験にあけくれる受動的な
学習の場ではなく、

子供たちが自発的な社会生活を営む
「小社会」であるべし、

と語りました。


■そもそも「学校の目的」を考えた時に、

「皆を40-50人集めて、
 教師に向かって暗記したことを語ること」

を目的にしているなら、
確かに、教科を学び、
記号を覚えればよい。


でも、実際はそうじゃなくて、
「学校の目的」とは

『社会的協力や、社会生活の精神を発達させること』
(つまり、社会で活かせることを学ぶ)

のであれば、

”抽象的で、日常から遠く離れた関係の
 特定の学科を学ぶのではなくて、
 生活と結びついた学びをすべきじゃないの?”
 
というのでした。



■1900年当時も、教育会の指導者が、

「教育の使命とは、
 教養や人格の発展だ!」
 
と語っていたようですが、

実際に、学校の授業に出る子どもたちは、

「日々の糧を得るための手段が教育だ」

と考えているわけです。

そんな中で、教育の偉い人が
いくら深淵で崇高なことを語っても
刺さりません。

だったら、

”抽象的で、受け身な授業ではなくて、

 具体的で、自分で行動しつつ
 学ぶような活動を取り入れたら、
 
 生徒の心ももっと捉えて、
 イキイキした学びの時間になるのでは”
 
と語るのでした。


そして、これらの話は、

「学びが自分たちの日常に
 紐づく事が大事」

という大事な視点を投げかけており、

これは今なお、子供にも、
そして大人にも存在する、
深く考えるべきテーマだと感じさせられます。



■デューイ曰く、

”「子どもの衝動(本能)」には
 4種類のものがある”
 
と言い、それらの
衝動・本能を大切にしつつ

”適切に進路を導くことで、
 子ども主体の効果的な学びができる”

といいます。

ちなみに、4種類の子どもの衝動とは、
以下になります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1)コミュニケーションの本能

「伝えたい」「語りたい」という言語本能。
社会的表現の最も単純かつ、最も重要なもの。


2)製作の本能

遊戯、運動、ままごと…
色々な材料で具体的な品物を形づくりたい。
「構成的衝動」ともいう。


3)探究の本能

「こうすれば、どうなるか」という探究の欲求。
何かをやってみるのが好きなのが子ども。


4)芸術的衝動

「コミュニケーションの本能」と「製作の本能」が
組合わされてより完全な表現をしたいと感じる
お絵かきなどがそれに当てはまる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

、、、とのこと。



■そして、上記の
「子どもの4つの衝動」は

「衝動」「本能」と言える、
溢れて出てくる活動的なエネルギーです。

ゆえに、大人たちは

・無制限に興味の赴くまま
 放置することもできるし、

・子供の活動を無視して、
 価値がないものとして抑圧もできるし、

・あるいは機嫌をとって
 水準を下げて甘やかすこと

もできる。


、、、では、それでいいのか、

というと、デューイは、

「それでは成長したとしても、
 偶然に身を委ねることになる」
 
というのです。


対して、然るべき手段や方法をもって、

1)まず最初は子どもの衝動を表現させ

2)つぎに、批評や質問や暗示を通して

3)かつ、自分が何を為したのか、
  何を為さなければならないのかを意識させ、導く
 
ことができたとしたら、

本能や衝動のエネルギーを適切に使い、
遥かに多くの結果を生み出せるようになる

というのでした。


※例えば、

「お絵かきをしたい!」という衝動に対して
ただひたすら書かせることもできますが、
 
「あの木って、どんな風に
 枝が生えてるかな?」
  
と問うたりすると、
観察眼が磨かれてきます。

すると、
より精緻な絵を書くことができ、

「芸術的衝動」をより高いレベルで
実現させることができる、

みたいなイメージです。



■そして、それらを実現する

「学校の機能」

として、

・日常の疑問を持ち込める実践の場
(作業室=家庭科室、図工室)

・起こった出来事を探求できる場所
(実験室=美術室・音楽室)

・具体と抽象を繋げる知識の場
(図書館)

というような機能が
求められるのではないか、

と続けていくのでした。



(、、、そしてお気づきの通り、

 上記のような部屋(美術室など)、
 今の日本の学校が機能として持っている、
 と感じられます。
 
 1900年に語ったデューイの考えは
 まさに日本の戦後の教育改革に、
 大いなる影響を与えているわけです)
 
 


■デューイ曰く、


”子どもが太陽となり、
 その周囲を教育の諸々のいとなみが回転する。
 
 子どもが中心であり、
 この中心のまわりに諸々のいとなみが組織される”


そんな学校教育が大切と説きます。


伝統的な学校教育のように

”教師・教科書、その他どもであろうとよいが、
 子ども自身の本能と活動以外のところが
 中心となるのは違うのではないか”
 
と批判をしたその精神は、

なんとなく「ハコ」だけが残り、
本質的な部分が形骸化していると感じる今だからこそ、
大事なことなのだろう、

、、、と感じさせられます。



■と、いうことで、

上記前半を読んで感じたことを
まとめてみた次第です。

また後半については来週の今週の一冊で
お伝えさせていただければと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<本日の名言>

教師の側から知識を授けるよりも、
まず知識をもとめる動機を子どもたちがもつような学校が、
真の学校である。

ジョン・デューイ
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【編集後記】
200ページくらいの本なのですが、
じっくり読むとやはり時間がかかりますね。
他にもやりたかったことが終わらぬまま
週末が終わってしまいました。今週、頑張ろう。


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