配信日時 2021/06/04 09:04

「全員納得いくまで話し合う」は何よりも大切なのか【カレッジサプリ】

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令和3年6月4日(第2661号)


「全員納得いくまで話し合う」は何よりも大切なのか 


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2886字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は6件のアポイント。

夜は大学院の打ち合わせと
研修プログラムの開発ミーティング。

深夜まで及びましたが、
とても楽しい時間でした。

こういう事ができることを
ありがたく噛み締めつつ、
前に進んでいきたいと思います。





さて、本日の話です。

昨日夜、大学院の
プロジェクトチームの仲間と

「ここまでのチームのあり方について」

を振り返っていました。


その対話の中で改めて気づくこと
考えさせられることがあり、
同時に反省もしたのでした。


今日はそんな対話からの学びと気づきを
皆様にご共有させていただきたいと思います。


タイトルは



【「全員が納得いくまで話し合う」は何よりも大切なのか】



それでは、どうぞ。



■「関係の質が大事」。


人事界隈で流行っている言葉、「関係の質」。



この言葉は、
ハーバード大学のダニエルキム博士が

「組織の成功循環モデル」

という理論において提唱しました。


内容は、乱暴にいうと

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「関係の質」が「思考の質」に影響与え、
 
「思考の質」が「行動の質」に影響与え
 
「行動の質」が「結果の質」に影響与える。

ゆえに”より良い結果”を求めるには
「関係の質」が大事
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

というお話です。


非常にわかりやすいです。

ゆえにチームビルディングの大切さを伝える上で
この業界ではよく引用されています。


(…が、実際は研究結果としては証明されておらず、
 仮説レベルの理論であるそうです)



■この話、とはいえ確かに大事だと思うのです。

ギクシャクして、心理的に不安で、
言いたいことも言えない職場なら、

短期的には強引に結果を出せても、
望ましい結果を長期継続的に
出し続けるのは、やはり難しそうです。


、、、ですが、


この”「関係の質だけ」が
一人歩きすると良いことばかりではない。。。


そこには副作用もある。


そんなことを考えさせられたのが、
昨日の大学院の仲間との振り返りでした。




■以下、私の個人的感想、
そして振り返りです。



これまで約2カ月間、大学院に入ってから
高校生のリーダーシップを考えるプロジェクトを通じて、

週2~3回のペースで夜や週末の朝、
仲間とたくさん対話を重ねてきました。


お互い人づくり、組織づくりに関わる大学院生。

当然ながら仲間はチーム作りについて
興味もあり、勉強しています。

かつ、あたたかくて、能力も高くて
自分の軸も持っている素晴らしい人ばかり。
実に尊敬できます。



そんな仲間と振り返りを通じて、
改めて考えてみたのでした。

それは、


「チームのあり方がどうだったのだろうか」

「チームで生み出した成果は
 どのようなものだったのだろうか」

「そのプロセスでどんな課題が起こっていたのか」


、、、など。


その中で、もしかすると
大切なことを見落としていたのかも、

と感じたのでした。



■チームビルディングは、大事。

それは私もチームも
同じように考えていました。

そしてそれは決して悪いことではない。

それゆえに、出来たことも
たくさん、たくさんなりました。

実際

”お互いを尊重し、
 理解しようとしていた”

し、

”お互いの考え方を尊重し、
 全員納得いくまで話し合っていた”

し、

”お互いの価値観、考え方、動機、
 今の気持ち、なども語り合っていた”

のです。


だから、チームビルディングとしては
非常に強固にできていた、

そして相手のことを尊重し、尊敬し
理解できていた、信頼できていた

のです。



■しかしながら、一方、

お互いのことを尊重するゆえ、
お互いの状況を慮ることを重視するがゆえ、

全員が納得するために、
話し合いをしようとするゆえの

「副作用」

もあったのかも、、、
と思ったのでした。


それは”優先順位”です。


1,「目標に対する意識」
  (いつまで、どのクオリティのものを出すのか)

2,「限られた時間で終わらせるという意識」
  (この1時間でここまでやる、そのためにこの準備をして臨む)
  

このことが、

”全員が納得するまで話し合う”に比べて、

優先順位が低くなっていたのでは、
と思ったのでした。



■目標は大切。言うまでもない。

ゆえに、なんとなくは握っていた。


しかし

「いつまでに」
「どのクオリティのもの」
「この限られた時間で必ず」

という意識は

「全員の関係性を大事に」
「全員が納得いくまで話をする」

に比べると、低かった。

これまでを振り返り、
そう思わざるを得ませんでした。



■そして、ふと机に置かれている

立教大学教授の中原淳先生の

『チームワーキング』

という著書を手に取ると

ある1ページに、
こんなことが書いてありました。


(以下引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チームメンバー同士が仲良くする事は
決して悪いことではありません。

ではなぜ行き過ぎた「仲良し信奉」が
相互フィードバックを妨げてしまうのでしょうか。

それは「仲良し信奉」には、
「人間関係の悪化」を恐れるあまり、
「仲良くすること」が目的化すると言う作用があるからです。


チームワーク調査では、

成果の低いチームは成果が高いチームに比べて、

「目標を握り合うこと」や
「情報共有を密にすること」よりも、

「良い人間関係を保つこと」を
より重視するという結果が出ています。


※中原淳、田中聡(2021)『ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方 チームワーキング』
 日本能率協会マネジメントセンター、P193
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


、、、とのこと。


うわー、当てはまってる。

目標を握り合うより、

良い人間関係・全員で納得するまで
話し合いをする

をしてる。

そう思って、ドキリとしたのでした。



■「関係性」は大切。

「全員が納得するまで話し合う」も、
すごく大事。


でもでも、しかし、
その仲間たちも、

「ある目標達成するために集まっている」

という事実を、忘れてはいけない、
と思ったのです。


「目標に握り合う」ことを
 より上位に置いた上で、

「関係を強固に持つ」という順番を、
忘れてはいけない、


そんなことを私は感じました。



■チームメンバー皆が
同じように思っていたかはわかりません。

ただ私は自分自身の視点から振り返り、
反省を含め、思ったのでした。



そして、

これらの事は、上記の引用の本を含めて
これまでも見てきたし、自分で語ってもきたけれども、

「結局、実際にできてはいなかった」

とことに、はっとさせられました。

”ゆえに理論として知っていることと、
 実際にそれをできるか、の間には
 大きな乖離がある”
 
と気付かされました。



■そして、

「目標を握る」からといって
「関係性はないがしろでいい」わけでもなく、

”チームをワークさせるためのアクションを、
 進行形で模索し、アップデートし続ける”
 
ことの大切さにも気づきました。

どちらかだけなら簡単。

しかしAもBもどちらも大切にしながら
バランスをすることは、とても難しい。

でもそれを考えることが
チームで動くということ。


そんなことを振り返り思うと同時に、
改めて自分とチームのあり方を見直したい、

そう思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

長い議論も短い議論も
めざす目的は同じだということを、
よく理解すべきである。

エピクロス(古代ギリシャの哲学者/BC341-270)

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【編集後記】
やはり時間をとって振り返り(リフレクション)をするのは
めちゃくちゃ大事だなと。よい気づきの時間でした。


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