配信日時 2021/05/20 22:53

水面下の世界に向き合うことの難しさよ【カレッジサプリ】

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令和3年5月20日(第2647号)


水面下の世界に向き合うことの難しさよ  


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2999字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。

ならびに組織開発のプロジェクト2件でした。
また夜からは大学院の打ち合わせなど。

加えて、先日ご案内いたしました、


<【大学院おすそわけ勉強会】 
 人材開発、組織開発のプロになるための名著を学ぼう!の会>
https://forms.gle/UppRaN99yyVjr9an6

ですが、現在30名を超える方に
お申し込み頂いております。

私も身が引き締まる思いです。

同時に、書籍を読まざるを
得なくなってしまいましたので、

時間を確保しつつ、気合を入れて
読書(勉強会の準備)を進めてまいりたいと思います。

(お申し込み頂いた皆さま、
 追って詳細ご案内をいたしますので、
 少々お待ちくださいませ)
 
引き続きよろしくお願いいたします!




さて、本日のお話です。

最近、組織開発に携わらせていただく機会が
増えております。

そのプロセス中で、組織の複雑さ、
すなわち人の考え方の多様さに触れ、

非常に多くの事を考えさせられております。


今日は組織開発のプロセスを通じて
率直に感じていることを皆様に
ご共有させていただきたいと思います。


タイトルは



【水面下の世界に向き合うことの難しさよ】



それでは、どうぞ。



■この半年の間に、

複数の組織の方について、
合計100名以上の方々に
インタビューをさせていただきました。


そして、感じることが

「群盲象を評す」

という寓話です。


※参考バックナンバー『群盲象を評す』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/796/
 
 
平たく言えば、

「1つのものを見ているようで別のものを見ている。
 あるいは捉え方が違う」

という現象です。



■さて、「組織開発」なる、

”人(個人)”じゃなく
”組織(全体)”を対象にしたアプローチは

・見える化
 ↓
・ガチ対話
 ↓
・未来づくり

の3ステップが
セオリーとされています。

(『組織開発の探求』中村和彦、中原淳/著 より)



■そして、その
プロセスの中で、

インタビュー等で定量・定性調査など行い、
それを開示していく

「見える化

なるものを行いますが、

インタビューの結果を皆が見ると
実に様々な意見が出てくるものです。



■それは

一般社員の方が見える景色と、

中間管理職の方が見える景色と、

経営陣が見える景色がそれぞれ違っていたり。



ひいて言えば、

こういった領域に長らく関わる
組織開発のコーチたち、

つまり、私(紀藤)と
パートナーのコーチの間でも

やはり見える景色、
解釈の仕方が違っているのです。



■そういったプロセスを通じて、

”誰もがそれぞれの捉え方
 それぞれの正しさを持っている”

その背景には、

・それぞれの立場・目的
・それぞれの価値観、こだわり

などが絡み合っており、
こんがらがったあやとりのようです。


まさに、個人の中にある
「複雑な世界」です。

それが100人いるなら、
絡まったあやとり×100ですから、
それはもう複雑極まりない。



■では、その複雑な世界を理解するため、
何が必要かといったら


”語られていない複雑な世界を
 一つずつ解きほぐしていく”


というプロセスが必要です。

それがすなわち「対話」です。



そんな風に言うと、
何ら芸のない一言みたいですが、

重要なポイントは、その
”対話の深さ”なのです。


人は実に多様な側面を持っている。


その人が持っている責任、役割についても
周りの人はごく一部しか理解していない。

加えて、

その人が歩んできたこれまでの道のり、
そこから構築されてきたこだわり・価値観、

それらを他者が知る機会は
実に少ないものかと思います。


さらに言えば、

その人の考え、感じていること、
弱い部分や繊細な部分などは

特に仕事や公式の関係で
語り合わられることは、
殆どないのではないかと思います。



■人は合理的に判断するだけではなく

その人の”内面”が、
行動につながっているわけです。


だからこそ、繰り返しになりますが、

表面の事象ではなく、
深い部分に関して対話をすること、

すなわち、

相手のことを深く知り、
何を感じ、どんな価値観を持ち、
何を恐れているのかも含め、

お互いに理解をすることが、

”急がば回れ”

になるのです。



■それは一見、
合理的な選択ではありません。


だって、問題があるなら、
そこについて解決先を話したほうが
ずっと早そうだから。



しかし、表面の問題は
必ず深い部分につながっているものです。


だからこそ、遠回りなようですが

”対話”

を通じてお互いの世界観を知り合うことで
ようやく同じものを見ることができ、

結果、合意形成も意志決定も、
早くになっていくという事が起こる。



■これを組織開発で言えば

水面下の


・コミュニケーションのパターン
・組織の風土や文化
・リーダーシップのパターン
・目標の共有
・暗黙の決まり事
・メンバーの状態(動機、感情、安心安全)
・お互いの関係性


が水面上の「問題」に影響を与えている、
あるいは成果に繋がっている、

ということがあるのです。



■ただ実に難しいのか


この水面下の部分というのは
深く絡み合っているため、

明確に要素分解して、
説明ができるわけではない、

ということ。


なぜならば、

それぞれどこを問題と見ているか
組織のメンバーでさえ
違っていることが多いからです。


仮に外部のコンサルが、
色々分析した結果、

「ここが問題だ」と指摘しても、
それすら一つの見方に過ぎないわけです。


当事者が「これこそが問題だ」と思わなければ
外野がいくらアツく語っても、

その問題に当事者として目を向けよう
取り組もうという気持ちにはなりません。



■だからこそ、
目線合わせをするためには

「対話」

が必要なのです。


何が問題か?すらも

共に探索し、そのプロセスで

お互いの関係性が見えたり、
あるいは目標意識のズレが見えたり、
それぞれの人の主体性が見えたり、

、、、ということで

少しずつ水面下の部分が
みえるようになっていくことが 

”染み入る”ように、

水面上の問題に影響を与えていくのです。




そうした進行形の対話のプロセスこそが

「対話型組織開発」

であり、

繰り返しますが
「対話」を通じた取り組みの中で
見えてくる世界があるのです。



■同時に、

それは明確に
「フレームワーク」のようなに
定義されたものではなく


「対話」という、言葉で作り上げる
抽象度が高いプロセスであるため、

なんとも雲をつかむような話がして
その最中に手ごたえがない…

と言うことも1つの事実。


このメルマガも、

「何を言っとるんだ、
 意味がわからん」
 
と思われる方も、
きっといるのではないか、

、、、と思っています。



■しかし、やっぱり

「対話」

こそが組織を作る。

この事を改めて、
声高にお伝えしたい、

と感じております。



大切だけども、
その大切さを表現しきれない。


体験したことがない人に対して、
価値を言葉にする、明示することに
まだまだ自分自身の力量不足を感じますが、

改めて、

大切なことを、
それがなぜ大切なのか

理論と物語の両面から、
明確に伝えられるよう精進していきたい、

、、、そんなことを感じた次第です。



■ということで、本日のまとめ。


・インタビューを通じて
 同じ事象でも人により捉え方が全く違う。
 
・人の行動は”内面”が影響している。

・しかし、相手の”内面”に触れるような
 深い対話がなされることはほぼない。
 
・我々が表面で見えている問題に目がいくが、
 それは水面下の見えない部分が影響を与えている
 
・それは複雑に絡み合ったあやとりみたいなもの。
 水面下について「対話」を通じて語り合うプロセスで
 問題の”隠された真因”が明らかになる
 
・だからこそ「対話」が重要である。

・またこのようなことは抽象度が高く
 言葉に表現することは難しいため、
 体験しないと難しいことでもある
 

というお話でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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<本日の名言>
人はその好むところをもって、真実とするなり。

デモステネス(古代ギリシャの弁論家/B.C384-322)

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【編集後記】
ちなみに、数社携わらせていただいておりますが
全ての組織開発で上記と同じようなことを感じます。

本当に真実は人の数だけある。
だからこそ、ぞれぞれがその真実を話しながら
現実を作っていくことをサポートするのが
自分の役割なのだろう、と思っています。


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