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令和3年4月29日(第2626号)
変革のパラドックス(前編)
~ 「これをやったら”人は変わらない”」アプローチから学ぶこと~
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2154字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は5件のアポイント。
また夕方からは大学院のプロジェクトの
ミーティングでした。
*
さて、本日のお話です。
現在、大学院関連で
「先生を育てるための本」
(=教師教育学)
というこれまで馴染みがなかった本を
読み進めております。
『教師教育学 理論と実践を繋ぐリアリスティックアプローチ』
F・コルトハーヘン(編著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4762020443/ref=cm_sw_r_tw_dp_38TACSQYNAC5YTVWNMMA
一冊4,000円(汗)
なかなかお互い本でございますが、
世界各国で翻訳されている名著とのことで、
まだ途中ですが興味深く読み進めております。
今日はその本の中から、
学びと気づきを皆さまにご共有させて
頂ければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【 変革のパラドックス(前編)~ 「これをやったら”人は変わらない”」アプローチから学ぶこと~】
それでは、どうぞ。
■「この人の考え、
変わったらいいのになあ」
と感じること、
しばしばあるかもしれません。
特に仕事などで、
かつ自分がその領域において
専門性を持っている場合は
そう言う思いが強くなること
あるかもしれませんね。
■それは自分なりの
勝ちパターン、
成功体験が色濃くあるがゆえに、
「もっとこうすれば
上手くいくのに…」
と強く思うからこそ
つい言いたく(アドバイスしたく)なる。
そして、もっと言えば、
”相手の考え方を
変えたほうがよい”
と思うこともあったり。
■さて、この
「後輩の考え方を変えたくなる現象」
ですが、
学校教育の専門的な世界では
この状況が顕著に起こっているようです。
先輩教師が教育実習生(後輩)に対して、
「こうすればもっと
上手く(生徒に)教えられる。
だから考え方を変えたほうがよい」
とアプローチをする。
「君はまだわかってない。
それじゃ上手くいかない」
と”指導”する。
、、、しかし、その結果
成果が出ているか、すなわち、
良い授業ができるようになっているか、
を見てみると、
決してそうはなっていない。
■このことに関して、
精神療法の分野では、
こんなことが言われているとのこと。
【人が変わらないようにする最善の方法は、
その人を変えようと試みることである】
とのこと。
うーん、深い。。。
「人を変えよう」とすると
「人は変わらない」。
まさに
”変革のパラドックス"
です。
■しかし、わかる気がします。
ちょっと小難しげな表現ですが
その理由についてこんな表現で
語られていました。
(著書『教師教育学』より引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
”有機体は、根本的に変化に抵抗する。
一度ある秩序を獲得すると、
それを変えようとしなくなる傾向にある。
有機体は均衡を保とうと努める。
私達は新しい経験を過去の習慣や経験と
同化させようとする。
私たちは現在の完全性を邪魔するものに
対抗して戦う”
カントール(1972)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だそうです。
そう、そうなのです。
私たち生き物(有機体)は
どんな状態であれ、今の状態で
バランスを保っているのです。
(たとえ幸福な状況ではない
としても、です)
「今の現実を否定されたくない」
「このバランスを崩したくない」
という思いがある。
それは、”個人の考え方”も
まさに当てはまります。
今の自分でバランスを保っているのに、
「今のままじゃダメだ!
変わらないと!」
と言われても、
言われれば言われるほど
抵抗感が湧き起こってしまう、
それが人間だよね…ということ。
■もし相手が真っさらな
白いキャンパスのような子供ならまだしも、
出会いと経験、失敗と成功、
価値観や持論を積み上げてきた
大人であれば、
「自分を変えよう」と迫ってくる人に対して
抵抗したくなるものでしょう。
■思い起こせば、
私にも、苦い経験があります。
昔、チームリーダーとして
後輩を育てる役割を持っていたときのこと。
周りの同僚から、
「あの子は問題児だ。
変えさせなきゃダメだよ」
みたいな声があったことも後押しして
「あの子を”変えない”いけない」
と意気込んだことがありました。
、、、そしてある夜、
仕事終わりに飲みに誘いました、
「キミはこのままじゃ通用しない」
「考え方を変えないとダメ」
「キミのために言っているんだ」
的なことを、熱く語りました。
■、、、ただ想像通り、
そんな話を熱くしたところで
後輩の表情は暗くなるばかり。
信頼関係ができていなかった、
ということもあるかもしれませんが、
「今の自分の考えを全否定」
的な私の話ぶりでしたので、
後半は悲しみが怒りに
変わってきたようで
「結局、みんな自分が悪い、
変われっていいたいんですよね。
ちょっと嫌気がさしますよね」
とハイボール片手に
つぶやいていました。
そして、
(ああ、このアプローチは
相手にも全然よくないんだ)
と思った記憶があります。
「変われと迫って、
変わるほど人は単純じゃない」
、、、と学びました。
■思うに、
(特に自信がない状況では)
「今の自分を否定して、
ゼロから自分を作り直すほど
人は強くない」
のでしょう。
ある程度、
若い年代でもそうだったのだから
歳を重ねたベテランの人なら
尚更そうなのだろう、、、
と思います。
そう、だから
『変革のパラドックス』
なのです。
「相手を変えようとすればするほど
相手は変わらなくなる」
このことを重々理解しておくことが
重要なのだろう、
と思うわけです。
■では、どうすればよいのか?
どうすれば、
”人を根本的に変革させる”
ことができるのか。
この話については、
少し長くなりましたので、
明日に続けたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
私は声をあげて称賛し、
声を和らげてとがめる。
エカチェリーナ二世(ロシアの女帝/1729-1796)
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【編集後記】
本も発表の場などがないと、
なかなか読み進められませんね。。。
「(ちょっとマニアックな)名著 勉強会プロジェクト」
やろうかな、と考えております。
ニーズあるのかな? と思ったり。
<皆様の、ご感想お待ちしています!>
ぜひ、率直なご意見など、
皆さまのご感想、ぜひお聞かせください。
皆様の言葉が、力になります。
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