配信日時 2021/04/30 00:19

変革のパラドックス(前編)~「これをやったら”人は変わらない”」アプローチから学ぶこと~【カレッジサプリ】

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令和3年4月29日(第2626号)


変革のパラドックス(前編)
~ 「これをやったら”人は変わらない”」アプローチから学ぶこと~  


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  2154字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は5件のアポイント。
また夕方からは大学院のプロジェクトの
ミーティングでした。



さて、本日のお話です。

現在、大学院関連で

「先生を育てるための本」
(=教師教育学)

というこれまで馴染みがなかった本を
読み進めております。


『教師教育学 理論と実践を繋ぐリアリスティックアプローチ』
F・コルトハーヘン(編著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4762020443/ref=cm_sw_r_tw_dp_38TACSQYNAC5YTVWNMMA


一冊4,000円(汗)

なかなかお互い本でございますが、
世界各国で翻訳されている名著とのことで、
まだ途中ですが興味深く読み進めております。


今日はその本の中から、
学びと気づきを皆さまにご共有させて
頂ければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、


【 変革のパラドックス(前編)~ 「これをやったら”人は変わらない”」アプローチから学ぶこと~】


それでは、どうぞ。



■「この人の考え、
 変わったらいいのになあ」

と感じること、
しばしばあるかもしれません。


特に仕事などで、

かつ自分がその領域において
専門性を持っている場合は

そう言う思いが強くなること
あるかもしれませんね。



■それは自分なりの

勝ちパターン、
成功体験が色濃くあるがゆえに、


「もっとこうすれば
 上手くいくのに…」

と強く思うからこそ
つい言いたく(アドバイスしたく)なる。

そして、もっと言えば、

”相手の考え方を
 変えたほうがよい”

と思うこともあったり。



■さて、この

「後輩の考え方を変えたくなる現象」
 
ですが、

学校教育の専門的な世界では
この状況が顕著に起こっているようです。


先輩教師が教育実習生(後輩)に対して、

「こうすればもっと
 上手く(生徒に)教えられる。
 だから考え方を変えたほうがよい」

とアプローチをする。


「君はまだわかってない。
 それじゃ上手くいかない」
 
と”指導”する。


、、、しかし、その結果
成果が出ているか、すなわち、

良い授業ができるようになっているか、

を見てみると、
決してそうはなっていない。



■このことに関して、

精神療法の分野では、
こんなことが言われているとのこと。


【人が変わらないようにする最善の方法は、

 その人を変えようと試みることである】



とのこと。


うーん、深い。。。

「人を変えよう」とすると
「人は変わらない」。

まさに

”変革のパラドックス"

です。



■しかし、わかる気がします。

ちょっと小難しげな表現ですが
その理由についてこんな表現で
語られていました。


(著書『教師教育学』より引用)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

”有機体は、根本的に変化に抵抗する。

 一度ある秩序を獲得すると、
 それを変えようとしなくなる傾向にある。
 
 有機体は均衡を保とうと努める。
  
 私達は新しい経験を過去の習慣や経験と
 同化させようとする。
 
 私たちは現在の完全性を邪魔するものに
 対抗して戦う”
 
 カントール(1972)
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

だそうです。


そう、そうなのです。


私たち生き物(有機体)は

どんな状態であれ、今の状態で
バランスを保っているのです。

(たとえ幸福な状況ではない
 としても、です)

「今の現実を否定されたくない」
「このバランスを崩したくない」

という思いがある。

それは、”個人の考え方”も
まさに当てはまります。

今の自分でバランスを保っているのに、

「今のままじゃダメだ!
 変わらないと!」
 
と言われても、
言われれば言われるほど
抵抗感が湧き起こってしまう、

それが人間だよね…ということ。



■もし相手が真っさらな
白いキャンパスのような子供ならまだしも、

出会いと経験、失敗と成功、
価値観や持論を積み上げてきた
大人であれば、


「自分を変えよう」と迫ってくる人に対して
抵抗したくなるものでしょう。



■思い起こせば、
私にも、苦い経験があります。

昔、チームリーダーとして
後輩を育てる役割を持っていたときのこと。

周りの同僚から、

「あの子は問題児だ。
 変えさせなきゃダメだよ」

みたいな声があったことも後押しして

「あの子を”変えない”いけない」
 
と意気込んだことがありました。
 
 
、、、そしてある夜、
仕事終わりに飲みに誘いました、

「キミはこのままじゃ通用しない」
 
「考え方を変えないとダメ」

「キミのために言っているんだ」

的なことを、熱く語りました。



■、、、ただ想像通り、
そんな話を熱くしたところで
後輩の表情は暗くなるばかり。

信頼関係ができていなかった、
ということもあるかもしれませんが、

「今の自分の考えを全否定」

的な私の話ぶりでしたので、

後半は悲しみが怒りに
変わってきたようで

「結局、みんな自分が悪い、
 変われっていいたいんですよね。
 ちょっと嫌気がさしますよね」

とハイボール片手に
つぶやいていました。

そして、

(ああ、このアプローチは
 相手にも全然よくないんだ) 

と思った記憶があります。


「変われと迫って、
 変わるほど人は単純じゃない」
 
 
、、、と学びました。



■思うに、
(特に自信がない状況では)

「今の自分を否定して、
 ゼロから自分を作り直すほど
 人は強くない」
 
のでしょう。


ある程度、
若い年代でもそうだったのだから

歳を重ねたベテランの人なら
尚更そうなのだろう、、、

と思います。
 

そう、だから

『変革のパラドックス』

なのです。

「相手を変えようとすればするほど
 相手は変わらなくなる」
 
このことを重々理解しておくことが
重要なのだろう、

と思うわけです。




■では、どうすればよいのか?

どうすれば、

”人を根本的に変革させる”

ことができるのか。


この話については、
少し長くなりましたので、
明日に続けたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

私は声をあげて称賛し、
声を和らげてとがめる。

エカチェリーナ二世(ロシアの女帝/1729-1796)

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【編集後記】
本も発表の場などがないと、
なかなか読み進められませんね。。。
「(ちょっとマニアックな)名著 勉強会プロジェクト」
やろうかな、と考えております。

ニーズあるのかな? と思ったり。


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