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令和3年4月15日(第2612号)
リクルート創業者・江副浩正氏から学ぶ、能力の伸ばし方
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2913文字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
最近読んでいる本で、
『起業の天才!ー江副浩正 8兆円企業リクルートを作った男』
(著:大西康之)
という本があります。
まだ途中ですが、めちゃくちゃおもしろいです。
私も以前リクルートの代理店で働いていたので、
リクルート的な考え方(締切文化、賞賛の文化、ヨミ表など)は
今でも自分の中に残っています。
改めて人や組織が成果を出すためのエッセンスが
リクルートには詰まっているのだ、と感じる良書でした。
その書籍の中で、江副氏が部下と関わる中で、
「人の能力を伸ばし、
挑戦させる風土を作る」
という視点で参考になる話がありましたので、
今日はこのお話について、
皆さまにご共有させて頂ければと思います。
それでは早速参りましょう。
タイトルは、
【リクルート創業者・江副浩正氏から学ぶ、能力の伸ばし方】
それでは、どうぞ。
■先日、ある部門責任者の方と
お話をしている中で、
「イノベーションを起こす文化は、
部下に仕事を任せて、やらせてみせて
成功体験をつませること。
これが新しいことに
チャレンジする風土を作ると思う」
という話をされていました。
そして、私自身
実に納得をしておりました。
■というのも、
どんな仕事でも、
最初にやるときは
「失敗」の文字がちらついたり、
あるいはやったことがないから、
どのようにやればいいのかイメージがつかない、などで
躊躇をするのが常です。
しかし、やってしまえば、
「あ、意外といけるんだ」と思えたり、
失敗したとしても、勝手がわかったりするので
今後の新しくチャレンジするときにさほど抵抗なく
飛び込むことができたりする。
あるいは、同じような
「やったことがない仕事」に対しても,
自信を持って飛び込むことができるようになる、
というように。
いわば、挑戦の常態化みたいなものでしょう。
■そしてこの部下に、
「どんどん任せて、
どんどんやらせてみる」
のは、その任せる仕事のサイズ感は、
その人の能力やモチベーションによって違うにせよ、
「任せること=人を伸ばす原則」
であることは間違いないかと。
■冒頭にご紹介した書籍
『起業の天才!ー江副浩正 8兆円企業リクルートを作った男』
では、こんなことが書かれていました。
(ここから引用)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『君はどうしたいの?』
江副浩正は、自分にはない才能をもつ人材を見出し、
その人を生かすマネジメントの天才だったことはすでに書いた。
一方で、ベンチャー企業を率いる多くの起業家が、
持ち合わせている資質が欠けていた。カリスマ性である。
(中略)
江副は自分を含めた社員に対して「こうしろ」とは言わない。
社員が常々、不満を持っている事業や、
自分が「やってみたい」とか「変えなければいけない」と
思っている事柄について、「君はどうしたの?」と問いかけるのだ。
社長に「どうしたい?」と聞かれた社員ははじめ戸惑うが、
江副は「それで?」と我慢強く社員の意見を促す。
(中略)
すると、そのうち社員は、江副さんが考えていた正解や、
それより素晴らしいアイデアにたどり着く。
そこで江副は満面の笑みを浮かべ、こう叫ぶのだ。
「先生!おっしゃるとおり。さすが経営者ですねえ!」
社長に「先生!」と呼ばれた社員は一瞬ぎょっとするが、
悪い気はしない。江副は社員数が500人を超える頃まで、
全社員に自分で勝手にあだ名をつけ、社員の名前や年齢、
プロフィールを頭に叩き込んでいた。
江副は畳み掛ける。
「じゃあそれ、君がやってよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
江副氏のパターンは、
1,「本人がどうしたいか?」をきく。
2,ズレていると思ったときも、
粘り強く「それで?」「ここはどう考えるの?」と
対話を重ねていく
3,その上で「こうした方がいい」という素晴らしい答えが出たら
その人に責任も権限も与えて、やらせる。
でした。
加えて、超優秀な人を採用し続ける。
という土台で会社を成長させ続けました。
普通の企業なら
40代くらいで行う課長の仕事を、
20代前半でもさせる。
全員経営者として、
数字を持たせ、運営をさせる。
新事業を立ち上げるときも、
会社の名前自体をその本人に付けさせるなどをして、
当事者意識を育てていく。
そんな「部下への任せ方」で
不動産、就職、転職、車雑誌…
あまたのリクルートの事業を
成長させていった、とのことでした。
■この話を見ていても、
「人は任され、責任をもつからこそ
能力が向上する」
という原則のようなものを感じます。
人は任されるからこそ、
背伸びをして努力をして、
能力が高まっていくのです。
■ちなみに、
別の観点からではこんな話があります。
ある研究結果の話。
「上司のどのようなな業務経験付与行動が、
部下の能力を向上させるのか?」
という研究がされました。
対象は、若手2年目611名。
結果、わかったこととは、以下の3つの行動が
「部下の能力向上につながる」ことでした。
この3つです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<1,仕事説明>
例)
・上司は、あなたの職場の仕事の全体像と任せる仕事の関係を説明してくれる
・上司は、あなたに職場で抱えている仕事の全体像について説明してくれる
・上司は、あなたに任せる仕事の前工程と後工程について説明してくれる
・上司は、あなたに任せる仕事の意義について説明してくれる
<2,モニタリングリフレクション(部下の仕事の進捗管理&内省支援)>
例)
・上司は、あなたの仕事の成果を褒めてくれる
・上司は、あなたにトラブルが起きたときに助けてくれる
・上司は、仕事の最中に励ましてくれる
・上司は、あなたが仕事でつまずいたときの相談役になってくれる
・上司は、あなたが自分の仕事内容を振り返る機会を与えてくれる
・上司は、あなたの仕事について新たな視点を与えてくれる
・上司は、あなたに仕事でミスをすることを恐れないようにといってくれる
<3,ストレッチ>
例)
・上司は、あなたに背伸びが必要な仕事を任せてくれる
・上司は、あなたに易しくはない仕事を任せてくれる
・上司は、あなたの能力より若干高めの仕事を担当させてくれる
※参考『経営学習論 –人材育成を科学する-』中原淳,2012東京大学出版会
を元に作成
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1,仕事説明
2,モニタリングリフレクション
3,ストレッチ
この3つが部下の能力を向上させる
という結果でした。
■そしてこの中で言えば、
「ストレッチ」
という行動。
まさに、冒頭の部門責任者のお話も、
またリクルートの江副氏のお話も、
『ストレッチ』行動
に当たります。
■人はストレッチ、
すなわち能力を越えて挑戦をしてこそ、
自分の新しい能力が花開かれていく。
それは筋トレで一旦
筋肉に負荷を変えて、
筋組織を破壊した後、
筋肉がより増強される様に似ています。
ゆえに、個人でも組織でも、
新しい仕事やプロジェクトに
どんどん飛び込んでいく。
自らを「ストレッチ」させていく。
そんなことを繰り返すことで
「成長し続ける組織」
「前に進み続ける組織」
ができるのであろう、
そんなことを感じた次第でございます。
成長だけが全てではないけれど、
成長の喜びもまた、素晴らしいものです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
心配ならば私達は行動を起こすべきであって、
憂鬱になるべきではない。
カレン・ホーナイ(ドイツの精神分析家/1885-1952)
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【編集後記】
昨日は3件のアポイント。
そして夜はキックボクシングで1時間運動して、
その後、大学院の課題などでした。
やはり運動は短時間でも行うと、ご飯がぐっと
美味しくなるのでいいなあ、と思っております。
<皆様の、ご感想お待ちしています!>
ぜひ、率直なご意見など、
皆さまのご感想、ぜひお聞かせください。
皆様の言葉が、力になります。
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