配信日時 2021/02/09 09:17

「研修転移」を促す代表的な2つのモデル  ~その2『転移マトリックス』~【カレッジサプリ】

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令和3年2月9日(第2547号)


「研修転移」を促す代表的な2つのモデル  ~その2『転移マトリックス』~ 


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 1885字/読了時間2分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は研修企画の準備。
夕方から大学院受験の勉強会でした。

また、昨日よりケアハウスより我が家に
新メンバー(子供)が参戦(?)してまいりました。

これから生活が一変しそうで
なかなか楽しみです。



さて、本日のお話です。

昨日は人材開発ど真ん中のテーマである
「研修転移のアプローチ」をお伝えしました。

つまり「学びを行動につなげる」ための考え方で、
そのうちの1つの代表的なモデル

『転移プロセスモデル』

のお話が昨日のお話でした。

ちょっとだけ振り返ると、要は、

・学んで覚えて、使い倒して
 そして自分のものにするためには

・「受講者」と「研修設計」と「職場環境」の
 要素を整える事が大事
 
というお話でした。
(実にシンプル!)

本日もこの「研修転移」について
2つ目の代表的なアプローチをお伝えしつつ、
さらに深めてまいりたいと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【「研修転移」を促す代表的な2つのモデル  ~その2『転移マトリックス』~】



それではどうぞ。



■「学んだのに、結局使われなかった」

というのは、

学びにも何かしら投資した時間やお金があるもので
なんとも切ないものがあります。

たとえ会社での研修でも
それはきっと同じでしょう。

イヤイヤやって、ただの時間の無駄だった、、、
では企画側も受講側も報われません。


ゆえに、

「”学び”は”活かす”ことで
 初めて価値を生み出す」

と私は思うわけです。

(ゆえに、このメルマガも

「自分の学びをアウトプットし
 学びを自らに染み渡らせたい」

「同時に、皆さまにも学びをお裾分けさせていただき 
 何かしらの価値を残したい」
 
 と思いつつ、続けさせていただいております。 
 、、、とさり気なくアピール)



■さて、ではこの

「学びを活かす」
(=現場で実践する)

ためにどのようなことができるのでしょうか?

このための先行研究として
有名な「研修転移」のモデルが
昨日の『転移プロセスモデル』に続き、
もう一つ存在しております。

それが、Broad&Newstrom(1992)の


【転移マトリクス】


なるものです。



■まず、この「転移マトリクス」。

どのような話かと言うと、
以下のようなモデルになります。

以下、3×3のマトリクスの図を想像してみてください。

まず、

1,「役割(縦軸)」と「時間(横軸)」の
  2軸をとる

2,「役割(縦軸)」には、
 「マネジャー」「講師」「受講者」を入れる
 
3,「時間(横軸)」には、
  研修「前」、「中」、「後」を入れる
  

そうすると、3×3のマトリクスができますね。


この合計9のマトリクスで
84人の人材開発実践者たちに

・「転移戦略として最も使われているのはなにか?」

・「転移戦略として最も影響力があるものはなにか?」

と問うて、9つの枠に順位付けをした、
というのが【転移マトリクス】の内容です。



■結果、わかったことがありました。

それは、

『「もっとも影響度が高い」研修転移戦略は、
 ”研修「前」のマネジャーの働きかけ”だった』
 
ということ。

つまり、マネジャーが受講者に
 
・研修の目的を伝える
・激励する、支援の意思を伝える
・なぜこの研修が必要か対話をする

などすることが、
「学びを現場で活かす」ために

効果的な影響を発揮すると
わかったということ。


■では実際に

マネジャーが研修前に働きかけを
しているかどうかというと、

「あんまりされていない」

のでした。。。
(使用順位5位/9位、中の下ですね)



■一番多く「仕様」されているのは、

”研修「中」に講師が関わる”
(=「研修後が大事です」と伝えたりですね) 

こと。

こんなことを考えると、
研修での学びを実行に移すためには

まだまだやることがある、
と言えそうです。



■では、具体的に
どのような活動が有効なのか?


以下、「研修転移」を促進するための
工夫をまとめてみました。

いずれも、研究者が述べている
効果的なアクションとなっています。

(詳しくは、 中原淳.『研修転移の理論と実践』ダイヤモンド社,2018
 をご覧くださいませ)   

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【「研修転移」を促進するための工夫】
~『転移マトリクス』より~


<研修「前」の工夫>
◯マネジャー
・受講者と「会話」をする
 「研修参加理由の明確化」を行う
(=参加する目的や意義をマネジャーが語る) 
◯講師
・熟達者に「研修ニーズのヒアリング」をする
 (例「新人にどんな研修が必要と考えるか」) 
◯受講者
・事前学習を行う


<研修「中」の工夫>
◯マネジャー
・仕事をフォローする
◯講師
・「双方向で、学習参加型の運営」をする
・「研修後の目標設定」をする
◯受講者
・現場でどのように活かせるのか類推する力


<研修「後」の工夫>
◯マネジャー
・受講生を支援する
(例:コーチングや実践度合いのフィードバックをする)
◯講師
・ワークブックの見直しなどを促す
・「再トレーニング」を行う
◯受講者
・電話コーチングによる支援

※参考:中原淳.『研修転移の理論と実践』ダイヤモンド社,2018
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


■こう改めて見てみると、
割と当たり前のことと思えますが、
意外とやっていないことが
たくさんあるようにも思えます。

うん、まだまだできることは
たくさんあるということですね。


■、、、ということで、

主に人材開発に関わる
ちょっとマニアックな話ではありましたが、

使える実践的なモデルかと思いましたので
皆さまにご紹介させていただきました。

ぜひ、研修などに関わる方は
ご活用されてみてください。

そして、少しずつ「学びが活かされる」ように
積み重ねてまいりましょう!


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

発見を妨げる最大の障害は、無知ではなく、
知っていると錯覚することである。

ダニエル・J・ブーアスティン(米国の作家/1914-2004)

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【編集後記】
大学院の入試まであと、10日。
昨日の勉強会に、現役の大学院生4名
(うち3名はこれから受験予定の大学)が
参加していただきました。

終わった後、受験対策などで
色々教えてくれたりして、なんともありがたい限り。

仕事なども含め、受験まで伝える時間が限られていますが、
入学が自分のためにも、周りのためにもなると信じて
出来る限りのことを行いたいと思います。


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