配信日時 2021/01/06 10:00

「やる気」のないのは誰のせい? ー「学習性無力感」から考えるー 【カレッジサプリ】

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令和3年1月6日(第2513号) 


「やる気」のないのは誰のせい? ー「学習性無力感」から考えるー  


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2011字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
ならびに、読書など。

色々ありますが、
お正月モードを切り替えて
アクセルを踏んでいきたいと思います。



さて、本日のお話です。

先日、

【大学院受験プロジェクト】
「人材開発・組織開発のプロになるための16冊」を学ぼう!の会 
https://forms.gle/fLySpASvk6WzY5DMA

において「やる気」を取り上げて
皆で勉強をしてみました。

その中で、話題に上がったお話がありましたので
本日はその内容を皆さまにご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【「やる気」のないのは誰のせい? ー「学習性無力感」から考えるー】


それでは、どうぞ。




■「もっとやる気を出せ!」

、、、なんて言われたら
どのように感じられますでしょうか。

こんな気合を入れる言葉は、
もう古い言葉になってしまったかも
しれませんが。


ただ、何となく「やる気」という
言葉の背景にあるのは、

・奮い立たせるもの
・沸き立たせるもの

というように、

”自分で出すもの”という
前提があるような感覚もしますね。



■もちろん、仕事においても、
「やる気」は物凄く大事です。

今の時代は、

・工場で体を動かして働く
 工業産業時代が中心の世界から

・自宅で頭を使って働く
 知識情報型の社会になった

などとも言われます。


脳の稼働率、集中力などは、
本人の「やる気」が多分に影響していることは
言うまでもありません。


では、この「やる気」とは、
どのように生まれてくるのか?

そしてどうすれば高められるのでしょうか?



■そんな「やる気」について
研究を行ってきたのが心理学の分野であり、
専門用語では

”動機づけ理論”(モチベーション理論)

と呼びます。


このいわゆる
「モチベーション理論」だけでも、


・生理的動機/親和的動機/達成動機

・マズローの「欲求五段階説」

・マクレガーの「X理論・Y理論」

・ハーズバークの「動機づけ・衛生理論」

・内発的動機付け/外発的動機づけ

・自己効力/能力観


、、、云々、
たくさんの専門用語があります。

一つ一つ実に面白いのですが、
今日、取り上げてみたいのが、
その中の、


【学習性無力感】


という言葉です。



■「やる気」が出ないのは本人のせい。

それもあるでしょう。

本人が、

自分で目標を掲げられない、
見つけられない、
考えられない

などもあるでしょうし、
(専門用語では「達成動機」が不明瞭、という)


積み重ねてきた行動の蓄積による
「自己効力」(自分はなにか変えられる)
という自信がある/ないなども
(専門用語では「随伴性の認知」がない、という)

あるでしょう。



■しかし、この
「学習性無力感」
という考え方からすると、

『”環境”が無気力状態を
 作り出していることがある』


という見方もある、
といっていますです。



この考え方は、現在のアメリカの
心理学会会長のセリグマンらが提唱しました。
セリグマンらはある実験を行いました。



犬に電気ショックを与える実験です。

犬に電気ショックを与え、
犬は何とか逃れようと、
あれやこれや試してみます。

しかし、電気ショックは
犬が何をしても、淡々と与えられ続ける。

、、、すると、犬はどうなるか?

その結果、犬は

「抵抗することを諦めて
 電気ショックを受け入れるようになる」

そうです。

つまり、

”何をやっても変えられない、
 逃れられないことを「学習する」”

のです。


、、、そして恐ろしいことに(?)、
この事実は「人」でもある程度当てはまることが
わかった、というのです。



■多いケースは、

「何を言っても変わらない上司や会社に対して
 ”諦めることを学ぶ”」

というパターン。

例えば、

・何かを提案をしたときに、
(理由も告げられずに)「あれは却下になった」
 と上司に言われ続ける

とか、

・報告や資料を作成するたび
「これじゃダメだ」というダメ出しが
 上司からひたすら続く

とか、

・今の制度を変えようと何度も
 上程するものの結局何も変わらない

などが続くと、

この「学習性無力感」が発動し、
「もう何やってもダメだ」と学ぶ

というわけです。



■人は、「自分が変えられる」という
感覚を持てばがんばれますが、
一向に変わらない中で、
ひたすら耐え続け、
頑張れる人はそう多くない、

ということ。


もちろん、大いなるビジョン、
絶対に成し遂げたい想いがあって

重なる否定の中でも、
物事を成し遂げるリーダーは存在しますが、
それは稀な例、と考えたほうが良いのでしょう。



■、、、こんなことを考えると、


「やる気は誰のせい?」


という問いを考えたときに、

「あなたがやる気を出さないから悪い!」

と一方的に言うのは、
少し危険な感じもします。

特に職場において、
「やる気を出せ!」といいそうな上司は
注意が必要かもしれません。

もしかすると、
自分が起因していたりして、、、(汗)


ゆえに、

”上司の皆さまは
  実に責任が重大である”

となるのでしょう。

(、、、とはいえ、
 本当に大変ですよね)


■そして同時に、さはさりながら、

・「自分が目標を持つ」
・「自分が出来ることに注力する」
・「自分が外に出て学び、刺激を受ける」

など、”自分から始める”というスタンスは、
当然ながら大事です。


むしろ、それは一丁目一番地として
やって当然としたいくらい。

それでも頑張っても「やる気」の火が消える時に、
初めて「環境」のことを考えるということになります。

(もちろんやる気が出る環境を選ぶことも含めて)


ゆえに、

【「やる気」のないのは誰のせい?】

と考えた時に、

”「環境」と「自分」を分けて考える”

ことが大事であろう、
そんなことを思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

自分には確かな居場所がある。
自分を必要としてくれる場所がある。
その安心感があればこそ、人は強く生きられるのです。

ドロシー・ロー・ノルト(米国の教育学者/1924-2005)

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【編集後記】
今日は朝から10キロのランニング。
実に気持ちが良かったです。


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