配信日時 2020/12/09 08:25

「その話、もう30年前に研究されてますけど…」とならないために ~学びの大切さを考える~【カレッジサプリ】

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令和2年12月9日(第2484号) 


「その話、もう30年前に研究されてますけど…」とならないために
 ~学びの大切さを考える~


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2436字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。

大学院受検の勉強会でご縁を頂いた

東京大学大学院→フランス在住、
現地の大学院で博士論文を書かれている方と、

情報交換ということで
色々とお話をさせていただきましたが、
実に学びになる時間でした。

本を読み、言葉を知り、
思考を整理していく方の言葉は、
明瞭で、力があると感じます。

まだ20代とのことでしたが
世の中には尖っていて、
凄い人がいるんだなあ、

と非常に刺激を頂いた時間でした。



さて、本日のお話です。

最近、2月の大学院受検に向けて
勉強モードになっております。

空いている時間は
できるだけ本を読むようにし、

それをまとめるような
ちょっと贅沢な時間を過ごしています。


その中で、「学びの大切さ」について
改めて感じることがありましたので
皆さまにご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【「その話、もう30年前に研究されてますけど…」とならないために
   ~学びの大切さを考える~】


それでは、どうぞ。




■私は人や組織に関わる
仕事をしております。

その中で、よく言われるのが

・ミッションを掲げる大切さ

・マネージャーがコーチングの技術を修得する意味

・部内だけではなく、
 組織のタテ・ヨコ・ナナメで
 繋がることで生まれる創造性

などなどです。

そして私も上記のことを
「大事なことです」などと
お客様に語ったりもしております。



■ただ、ふと思えば、

何故「大事です」と
言うようになったのかと振り返ると
(お恥ずかしい話ですが)

『皆が大事だと言っているから
 大事だと思うようになった』 

というのが正直なところ。

「他社もやっている。
 だからコーチングは大事なんだろうと
 いつしか感じるようになった」

これがホンネだなと
と思ってしまったのでした。


■そこから後づけのように、

「メンバーとのコミュニケーション」
「社内の一体化」
「縦割り組織の解消」

などの理由も考え、私自身、

・コーチングを勉強したり、

・ストレングス・ファインダーで
 強みにフォーカスをする組織の作り方を学んだり

・組織ビジョンをまとめる方法を学んだり

なども、実践としてやってきました。

そしてその「実践」自体は、
決して悪いものでもないし、
それで変化をすることもままあったのです。

ただ、何かモヤッとした感が残る、
そんな感情もありました。


■そんな中、先日から始めた

【大学院受験プロジェクト】
「人材開発・組織開発のプロになるための16冊」を学ぼう!の会 
https://forms.gle/fLySpASvk6WzY5DMA

にて題材本として取り上げた


『組織開発の探求 ―理論に学び、実践に活かす』
(著:中原淳、中村和彦)
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3693698/


を読んでいると、
こんな事が書かれていました。

日本のこれまでの歩みの話ですが、
そしてそれを読みながら
頭に浮かぶことがあったのです。


(以下、著書を参考にまとめました)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<日本の組織開発の歴史>


◯1980-90年代 『CI活動』が盛んになる

・CI(コーポレート・アイデンティティ)とは
 =企業の存在価値を再定義する。
  理念や行動指針を企業内外で共有する
  それらを象徴するマークやロゴを策定する、などの取り組み

・狙い:外向き→ 社会に企業イメージを発信。企業イメージを高める。他社との差別化
 狙い:内向き→ 自社の理念や行動指針を組織内に浸透させる
 ({インナーコミュニケーション/組織内コミュニケーション}というラベルで実践されていく。)


◯1990年代前半 『KI活動』が大企業中心に行われる

・『KI活動(知識集約型社員改革 knowledge intensive staff innovation plan)』

 =技術系・開発系のスタッフを対象に、部門や部署で長期的に取り組まれる
  話し合われる内容は業務について。
  1)付箋を使った定期的なワイガヤミーティング
  2)計画を見える化
    3)部署を超えて部門内で話し合う、など

・業務革新とチームづくりを同時に行っていくことが特徴
(※この活動は数社で内製化されていて、トヨタ自動車ではKTI,キヤノンではCKI、デンソーではDKIと呼ばれている)


◯1990年代後半 『風土改革(企業風土改革)』が行われる

・オフサイト・ミーティング…気軽にまじめな話をする対話の場

・日頃なかなか語ることができない、
 会社や仕事に対する問題意識を対話することを通じて、
 現状での問題を発見し、その解決を当事者が考えていき、実行する。


◯2000年代 『コーチング研修』が注目される

・個業化が進み、モチベーションの低下、
 コミュニケーションの不足などから
 マネージャーに対するコーチング研修、
 ファシリテーション研修が注目され始める

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


これが、日本の「組織開発(的なものも含む)」
活動の軌跡である、とのこと。



■これをまとめてつつ思ったこと。

それは「自分は過去の話を
知らなかったんだな」という気づき。

そして、

『歴史(他者の経験)には、
 ヒントがたくさんある』

ということでした。


知らなかっただけで、

「会社のミッションを作って皆で語り合う」
活動は1980年くらいから、

「オフサイトミーティング」なども
1990年代くらいから試されていました。


かつ、調べると、
その効果(メリット・デメリット)も
検証されていたりする。

ただその情報を知らなければ、
30年前に行われている活動を、
またゼロベースで自分が考えて、
やっていることも、ありえるわけです。



■しかしながら、
過去の人が試したことがあるならば、
ゼロベースで自分で考える必要はありません。

歴史(他者の経験)から学び、

・活用できる課題はどんなものか
・期待できる効果はどんなものか

なども知ることが出来るし、逆に

・活用できない課題はどんなものか
・機能しない状況・環境とは?

なども判断できます。
また、

・運用時に気をつけるべきポイント

なども勉強して、実際の現場に
活用することだってできる。

それは

”学んで知っていれば”できる

のです。


■人材開発・組織開発は、
人の育成やチームの育成関わることで
誰もがそれなりの持論を持っているものです。

ゆえに、オリジナルで
作ることもできる。

そして実際、そのようなコンテンツが
乱立している感もあります。


オリジナルで作ることを
否定しているわけではありませんし
「実践」することで得られるものは
非常に大きいです。


ただ、その「実践」に加えて

過去のその道の専門家の
血と汗と涙の結晶である「理論」を学ぶことで

社内の施策の打率を
意図的に高められることもまた事実。



■学ばずに、

「その話、もう30年前に研究されてますけど…」とならないためにも、

どんな分野でも、

この話、もうすでに
試されているんじゃなかろうか、

というように、

「過去から学ぶ」
「専門家から学ぶ」

という姿勢は持ちつつ、
学ぶ大切さを忘れないことが大事なのだろう、
と思うのです。

そうして、

【「理論ある実践」を目指す】

こと。

それが、
人材開発、組織開発に携わる人に
求められていると思いますし、

同様にこれは、
営業、マーケティング、士業、経営など
他のあらゆる分野でも言える、
原則的な話なのであろう、

とも思います。


本質を、学びましょう!
大いなる自戒を込めて。  

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

法と支配者と、自分より賢明な人に従うことは、
節度のあることである。

ストバイオス(ギリシャの作家・編者/5世紀頃)

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【編集後記】
学びと実践のバランス。
実に大事だな、と思います。
学びと実践のバランスを最大限に高める1年にしたいなと思います。


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