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令和元年12月8日(第2118号)
今週の一冊『流れる星は生きている』
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2122字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、研修の準備、
ならびに英語の勉強。
また友人の結婚祝いパーティーへの参加でした。
さてさて、早速ですが本日のお話です。
毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『流れる星は生きている』
(著:藤原てい)
https://www.amazon.co.jp/dp/4122040639/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_dRq7DbC04PZ16
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です。
■読み終えて率直思ったこと、
それは、
「この本は、全日本人が、
ぜひ読んだほうがよい一冊である」
とすら思ってしまいました。
この本は、
1945年9月、日本が敗戦した後、
満州に住んでいた著者(藤原ていさん)が、
3人の乳飲み子を連れて、引き上げてくるときの、
壮絶なる体験をノンフィクションで描いたお話です。
初版は1949年、
今から実に70年前に出版され、
戦後空前のベストセラーとなりました。
■戦争というと、
広島、特攻、
戦地で亡くなられた兵隊の方、
空襲、疎開、
人によって色々なシーンが、
想起されることかと思います。
でも、その戦時下で、
普通の母親と子どもたちが、
その影響でどのような苦境を歩んだのか。
「生きるのが精一杯」という状況は、
実に、いかなるものなのか。
それが、生き抜いた本人から描かれ、
「息遣いも聞こえるほどの生々しい過酷さ」
「ぎりぎりの環境下での人間の存在の強さと脆さ」
を、まるでその場にいるかのように、
疑似体験をできる本が、
どれほどあるのでしょうか。。。
この本は、そんな体験をさせてくれる一冊です。
■戦時下、敗戦下においては、
戦地に赴いていた人だけが、
苦境に立たされていたわけではありません。
この本の著者の、藤原ていさんは、
まさしく、その人物。
満州にいた藤原ていさんは、
ある夜、夫からすぐに汽車にのり、
すぐにこの地を離れるように指示を受ける。
それは、敗戦の知らせと、
それに伴う脱出が必要になった、
ということだった。
夫は、関東軍としてやることがある、ということで、
子ども3人に母一人で脱出するという、
周囲と比べて圧倒的に苦難な状況。
1日の食料を稼げなければ、餓死してしまう。
頼りたくとも、夫はいない。
持ってきた食料もお金も尽きた。
そんな中、「何でもやる」という気概で、
石鹸を売り歩く。
野菜を市場の後で拾い集めて、
なんとか食いつなぐ。
*
満州にて凍える夜、
子供が、足が冷たくて眠れないという中で、
自分のお腹で子どもたちの足を温める。
自分の背中は冷えに冷え、
全く眠れぬ夜を何日も過ごす。
そして、昼の太陽があたる1~2時間、
まどろみの中、眠ることができる。
体力は削られていく。
自分が倒れたら、その瞬間、
子供3人共々ゲームオーバーになる。
だから倒れるわけにはいかない。
誰もが自分のことで精一杯で、
守ってくれる人はいない。
*
いよいよ北緯38度線を越えようとする際、
冷たい雨に打たれ、着るものもボロボロ、
靴はなく、足に岩が食い込み、膿んで歩けなくとも、
歩かなければ明日はない。
本当にあと一息で絶命するという、
ギリギリの状況下で、それでも生きるために、
心を鬼にして枯れ木のような息子たちに、
「死にたくなければ歩け」
と叱り続け、母として、
子供を生き残らせようとする。
極限の状況で触れる人の非情さ、
反面の温かさ、究極で見える人間の強さ。
、、、
読みながら、
「人間とは何か?」
「戦争とは何をもたらすのか?」
を、壮絶な手記とともに、
考えさせられる一冊です。
■余談ですが、この本を読んで、
私(紀藤)が思い出したことがあります。
幼少期、自分のおばあちゃん(現在91歳)が、
「ティッシュで鼻をかむ時は、
1枚で3回はかめるんだよ。
ほら、一回隅っこでかんで、
それからおりたたんでもう一回かんで、
それからもう一度おりたためば、
3回はかめるだろう」
と話をしていたな、ということでした。
その話をしたときに、
「昔は着るものもなくて、
困っていたものだ」
と併せて行っていた記憶が、
頭の片隅にあります。
その時はよくわかりませんでした。
今だに、よくわかっていませんでしたが
この本を読んだときに、
「こういうことだったのかもしれない」
と数十年の時を経て、その祖母の想いを、
少しだけ感じることができたような気がします。
■もう言われることもないくらい、
当たり前すぎるほど、
豊かさが当たり前になった今、
「戦争とは何か?」
「どのような過酷さ、残酷さをもたらすのか?」
ことは、知ろうと思っても、
知ることができなくなっているのが、
現状ではないでしょうか。
そんな中、この
『流れる星は生きている』
の一冊は、あらゆる人が、
その戦争による過酷さを、
優れたノンフィクションのストーリーを通じて、
リアルな実話を疑似体験できる、
そんな本です。
読み終えて時間が経ちますが、
頭の中で読み終えたシーンを回想しても、
ありありと情景が浮かんでくるよう。
歴史を知る一冊としても、
人間とは、を考える一冊としても、
今のありがたさを噛みしめる上でも、
とてもお勧めの一冊。
ぜひ、手に取られてみて下さい。
アマゾンの5つ星のうち、4.8という
大変な評価も頷ける、不朽の名作です。
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<今週の一冊>
『流れる星は生きている』
(著:藤原てい)
https://www.amazon.co.jp/dp/4122040639/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_dRq7DbC04PZ16
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【編集後記】
ちなみに、この藤原ていさんの夫は、有名な作家:新田次郎氏です。
新田次郎氏に作家になることを決意させた一冊だそう。
氏の『八甲田山死の彷徨』も物凄くお勧めです。
◎昨日の英語学習:1時間
(カナダのワークショップ参加まであと55日)
(累計56時間/目標学習時間344時間)
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