配信日時 2019/04/06 15:40

「礼法のストーリー」を知ると、礼儀・作法が自然と身につく【未来習慣】

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<本日のお話> 平成31年4月6日(第1875号)


「礼法のストーリー」を知ると、礼儀・作法が自然と身につく  


株式会社カレッジ 代表取締役 紀藤康行

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(本日のお話  2463字/読了時間3分半)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件の組織コンサルティング、
ならびに2件のアポイントでした。

また夕方からは、前から気になっていた「礼法」について、
プライベート体験レッスンを受講してまいりました。



さて本日の話です。

昨日「礼法」について学んだ、とお伝えしましたが、
「礼儀・作法」というのは、なんだかんだで大切なことですよね。
少なくとも、できていて損はない教養です。

しかし、誰もが正しいやり方を知りたいと思いつつ、
意外と知らないものではないでしょうか。

今日は、そんな「礼法」から学んだことについて、
皆様に気づきをご共有させていただきたいと思います。

タイトルは、


【「礼法のストーリー」を知ると、礼儀・作法が自然と身につく】。


それではどうぞ。


■「礼儀・作法」について、私は詳しい、
あるいは普段からかなり意識している、という方、
どれぐらいいらっしゃるのでしょうか。

個人的な感覚では、

「最低限知ってはいるけど、ちょっと自信がない」

という方が、ほとんどではないかと思います。
(私もその一人です)

実際、先日の礼法の先生曰く、
多くの経営者やビジネスパーソンが、

・誰かと料亭で食事をする際
・知人や友人の自宅にお邪魔する際
・法事などの行事の際

等に、自分の振る舞いを省みては、
「、、、実際これでよいのだろうか?」と困惑する、
あるいは困惑まではしないけれど実は自信がない、、、
という相談を受けるそうです。

やっぱり皆、気になっているのですね。


■そんな「礼法」について、講師の方から、
面白いお話を教えて頂いたのでした。

それが

【礼法は、そのストーリーを知れば、自然とできるようになる】

という話なのでした。


■ちなみに話が少し脱線しますが、そもそも「礼法」とは何か。

それは儀式や礼式の作法の、そもそもの源流だそう。
その後、人間同士の礼節作法が含まれるようになって、今の礼儀作法に繋がっているとのこと。

そんな「礼法」がいつ生まれたのかというと、
その背景は「鎌倉時代」に遡るといわれます。

それまでは「朝廷」と言われるように、
天皇・上皇・公家などの貴族が支配していた世の中を、
武士が「鎌倉幕府」をつくり政権が変わったのです。

その中で、弓術・馬術と並び、
「礼法」も武士が身につけるべき必須のスキルとなったのです。

争い事を避けるため、平和な世の中を続けるため。
あるいは、田舎武士(とあえていってしまいますが)
貴族の振る舞いを身につけようとしてのかもしれません。

いずれにせよ、室町時代には、足利義満の命令で「礼法書」が編纂され、
江戸時代には、幕府公式の寺子屋で日本全体に広がっていき、
「日本人全体のの道徳観」にも繋がっていった、と言われているのです。

つまり、日本人である私達は「礼法」を切っても切り離せない関係にある、
といっても過言ではないでしょうし、

【「礼法(礼儀作法)」を知るということは、
  日本の歴史を知り、文化を知り、教養を身につけること】

とも言えるののでしょう。


■そして、その「礼法」には、
なんとなくできたものではなく、背景にはきちんと理由があるわけです。

それが、先述でお伝えした、
そして今日一番お伝えしたい、

【礼法のストーリー】

なのです。 



例えば、「畳の上では普通は歩かない」というお作法があります。
あるいは「畳には素足で上がらない」というお作法があります。
または、「座布団は踏まない」というお作法もあります。

聞いたことがある人もいれば、いない人もいるでしょうが
上記の内容は「正式な和室のルール」と言われます。

では、なぜこれらの「礼法」ができたのか?
これらに共通するストーリーとは、何なのでしょうか?

、、、

その答えは、

『昔、畳は高価なものであり洗うことができなかった。
  汚れた足の裏で、その貴重なものを踏むということは無礼にあたる』

ゆえに、畳の上では歩かないし、素足で上がってはいけないのです。


■座布団も同様です。

座布団は位が高い人だけが持つものであり、
中には綿ではなく絹が入っていました。

すなわち、今のやすい座布団ではなく、当時座布団とは大切な財産だったのです。
それを、大切な客人に差し出していただいた。
それを”足の裏で踏みつける”ということは、確かに失礼にあたる、、、
そんな”ストーリー”に繋がってくるのです。

財産を、大切なものを足で踏みつけてはいけないのです。


■また、別の「礼法のストーリー」では、こんなものもあります。

「玄関に上がる時に、(靴を揃えるのが面倒くさいから)
 後ろ向きで靴を揃えて上がる」

という人がいます。

これを、礼法的にどう考えるのか?
結論、「後ろ向きで玄関に上がる」のは失礼な行為になります。

それは、なぜか。理由は、

『これからお邪魔する相手のご自宅に対して、お尻を向けながら上がる』ことは、
失礼に当たるからです。

もっといえば、靴を揃えるために屈んだときも、その家の方にはお尻を向けないようにするのです。
それも、相手への敬意を表すのです。

つまり『相手への敬意を払うための行為』として、
細かい礼法と、その背景のルールがあるわけです。


■昨日の小笠原流の礼法の先生は、こんな事を言っていました。

「正直、そんなところまでみている人は、今の時代ほとんどいません。
 だから、そこまで気にする必要はないのかもしれません。

 でも、見る人がみればわかりますし、その所作に相手への敬意を持ち行うということは、
 やっぱり相手にも伝わるものだと思います」

、、、と。


こんな「おしえ歌」ががあります。

『水は、方円(ほうえん)の器に随う(したがう)こころなり』

器が四角(方)であれば、水は四角になる。
器が丸であれば、水も丸くなる。

相手を尊重し、相手の存在と、相手の大切にしていることを、
自分と同等、それ以上に大切にすること。

相手の器に併せ、自分が形を変えるのです。

それが日本人のこころであり、道徳観であり、
『和の精神』と呼べるのかもしれません。


■新入社員がたくさんはいる4月。

新人でありがちな、

「名刺を、相手に先に受け取らせる合戦」
「名刺を、より下から出そうとする合戦」

みたいなマナーを履き違えた行動をする場合がありますが、
それは「礼法」の表面だけ見ていることの典型です。

相手を思いやるのでなく「自分が謙遜したいからやっている」というエゴの表出にしかすぎないことは、
「礼法のストーリー」を理解していないためです。

”ストーリーを理解していない礼法”は、ただの魂のない器になってしまうのです。


■私がわざわざここで言葉にせずても、
皆様、重々理解のことかもしれません。

ただ、私はこれらの話を先生から聞き
「本当にそのとおりだなあ」といたく感銘を受けました。

「礼法のストーリー」を知ると、「日本のこころ」を知ることができます。
それはこのグローバル社会においても、日本人としての尊厳を伝える一つ手段にもなり得ると感じます。
それは、一つの、大きな教養です。

その他にも、

・なぜ、いつから「正座」という座り方が始まったのか? というストーリー
・日本の旅館で、姿が見えなくなるまでお見送りすることのストーリー
・武道の「残心」のストーリー

にも、それぞれ興味深い話がありますが、それらの話はまたいつか。

世界にはなく、日本という、独自性の強い文化だからこそ生まれた礼法。
和の精神の表出として、行為に基準を設けたのが「礼」。

一挙手一投足に一つずつ意味を持たせる、
その行為を通じて相手への尊重の気持ちを具現化させる。

【「礼法(礼儀作法)」を知るということは、
   日本の歴史を知り、文化を知り、教養を身につけること】。

そんなことを小笠原流の礼法の先生から、学んだ次第です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

礼道の要は心を練るにあり。
礼を以て端座すれば、兇人剣を取り向ふとも、
害を加ふること能わず。

新渡戸稲造『武士道』より
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ディオゲネス

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***<編集後記>****

これから25キロ、お花見ランニングをしてまいります。
夕方までには帰ってこれるはず。
野辺山ウルトラマラソンまで、あと43日。


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