配信日時 2019/01/18 09:23

夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法【未来習慣】

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<本日のお話> 平成31年1月18日(第1797号)


夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法  


株式会社カレッジ 代表取締役 紀藤康行

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(本日のお話  3016字/読了時間4分)
 

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
また、夜は久しぶりに6キロのランニング。
そしてムエタイのジムにて汗を流してきました。

やはり運動すると、気分が晴れますね。

最近めっきり運動できず、
体重が6キロも増えておりました、少しずつ減らして、
久しぶりの3月のフルマラソンに備えたいと思います。



さて、本日のお話です。

先週参加してきた、「古典」を学ぶ、
日本アスペン研究所というリベラルアーツを学べる場所があります。

この、ヤング・エグゼクティブコース
http://www.aspeninstitute.jp/seminar/young_executive/

なるものに参加してきました。


ここに参加して、今まで触れてこなかった、
「過去の偉人」に触れ、
色々と考えさせられることが多くありましたので、

今日はその振り返りも含め、
皆様に「古典」からの学びをご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法】。


それでは、どうぞ。



■誰もが聞いたことがある「夏目漱石」という人物。

『吾輩は猫である』
『草枕』
『こころ』

など、多くの文学作品を残しました。

彼は、1867年、
まさしく「明治維新」の真っ只中に生まれ、

江戸から明治に切り替わるそのときに、
幼少期、青年期を過ごしました。



時は、産業革命が更に加速した世界。
西洋社会が世界中の国を「植民地」にしまくっていました。

アヘン戦争で、中国がボロボロにされ、
このままでは日本も植民地にされてしまう、、、

そんな流れを察知し、
日本は「開国」→「明治維新」、
そして、その後の「富国強兵」へと進みます。


■結果、日本は驚くべき進化を遂げました。

たった40年で、
和服で刀と提灯の日本人が、

当時、世界最強と言われた
ロシアのバルチック艦隊を破ったのです。

かろうじてではありますが、

「日露戦争(1904-5)」

に奇跡的に勝利した。

これは、ロシアという大国を、
アジアの小国・日本が倒した、ということで、
”アジアの奇跡”とも呼ばれるのです。



日本人は思います。

「日本は文明化に成功した」
「日本は西欧化できた」

、、、と。

自信を持ち始めた日本人。

しかし、そこに違和感を覚えた漱石は、
当時、新聞社の社員として、


【現代日本の開化】


というテーマで、各地を講演して回るのでした。


■さて、そんな講演で、
夏目漱石が何を言ったのか。

それは、こんな話でした。


(以下、『漱石文明論集』より引用です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「我々のやっていることは内発的でない、外発的である。

 これを一言にしていえば現代日本の開化は、
 皮相上滑りの開化であるという事に帰着するのである。

 (中略)

 西洋が百年かかってようやく今日に発展した開化を
 日本人が十年に年季をつづめて、しかも空虚のそしりを免れるように

 誰が見ても内発的であると認めるような推移をやろうとすれば、
 これまた由々しき結果に陥るのであります。


 百年の経験を十年で上滑りもせずやり遂げようとするならば、
 年限が十分の一に縮まるだけ、
 わが活力は十倍に増やさなければならんのは
 算術の初歩を心得たものさえ容易く首肯(しゅこう)する所である」


※引用:『漱石文明論集(岩波文庫)』
 https://www.amazon.co.jp/dp/4003111109/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_b4qqCbNDJRC83

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

、、、と。



■要は、


「日本が文明開化で急に成長しているのは、
 西洋が強い&圧力があるから」

すなわち、

”外発的な変化”

であるというのです。

そして、それは上滑り、
すなわち「表面的」ではないか、、、と。


「本物の地力」にしようとするなら、
西洋が100年かかったことを、
10年で自分たちのものにしようとするなら、

”10倍の努力が必要である”

わけだし、

”同時にそれは、大変な精神的な疲労をもたらすので、
 大変な選択肢でもある”

と語るのでした。



■そして同時に、このようなことも言います。


本当に「自分の地力」をつけるには、
外発的な力ではなく、

1,内発的に変化すること(自分たちで気づいて、自分で変わる)

2,きちんと時間をかけて、少しずつ変化していくこと

ことである、と。


しかし、同時に悩ましい。

自分のペースで確実に「地力」をつけていこう。
そうしていられたら、確かによい。

でも「世界」は、ものすごい勢いで変化している。

自分たち「日本」が強くならなければ、
取って喰われてしまう(=植民地化される)可能性もある。


「内発的」に成長したい。

でも圧倒的な「外発的」な力それを許さない。。。


この間に揺れて悩ましいが、
それでも、その状況を認識して、
力をつけないといけない、


そのようなメッセージを、
当時の日本、1907年の日露戦争に勝って自信をつけていた日本に、
漱石が講演で伝えた、そんなお話です。

   
■そして、この話を読みながら、

”現代の私達にも通ずる話である”、

そのように感じたのです。


それは2つの意味で、そう思うのです。


まず1つ目。

それは、


【成長とは、基本「自分から起こすもの」であるべし】(=内発の力)


ということ。

周りがいくら言おうが、
外からの力で成長を遂げたように見えても、
それは”表面的”です。

自分にとって本当に必要だと思って、
自分から進んで学ぼうと思い、
そして自分たちの創意工夫で、

”相応の時間をかけ、内発的に変化する”

ことがなければ、それは本物とは言えない。

これは、私達の「個人個人のキャリア」でも
全く同じことが言えるのではなかろうか、と思います。


誰かや周りの情報を見て、

「今はこれが必要そうだから」
「これこれ勉強しておいて」

とせっつかれてやった「経験」は、
なかなか入ってくるものではないし、
己に定着することもないでしょう。


自分が本当に必要であると自ら気づき、
そして歩んだ先に「地力」が高まるものなのです。


■そして、2つ目。

「自分から変わる」といいつつも、


【「環境の変化で変わらざるをえなくなること」があると、知ること】
(=外発の力の影響)


このことも、同時に見過ごすことはできません。


内発的に、自分のペースでいきたい、
それが理想的なのはその通り。


しかし、現代の世の中、
変化は100年前以上に尋常ではありません。

今、AIにより

「10年後に、50%の仕事がなくなる」

と言われています。

これは見方によっては、
黒船来航以上の「恐るべき環境の変化」です。


”環境の変化によって、
 私達自身が変わらざるをえなくなる”

これはいつの時代も、そうです。



別に、変わらなくとも、
生きていくことはできるかもしれない。

しかし、己で視野を広く持ち、
「自らの人生のオールを自らの手で持つ」ためには、
選択権をもつには、


『環境に合わせて、自らも変わり続ける』


ことも、同時に大切になるのでしょう。



■世界は劇的なペースで変わり続けます。

世界はつながっています。
Google、Amazonがビジネスの環境を変えたら、
日本もそれに呼応するように、変化を余儀なくされます。

そして当然、その流れで、
私達の会社・組織も、生き残るために
「変化」を求められる。


その中で、

「私だけがそのままでいい」

わけがないのは、
厳しいですが現実なのです。


来たるべき変化の中、


『(内発的に)自分はどうなっていきたいのか』 そして、

『(外発的に)自分はどう変わることを求められているのか』


そんな2つの力を感じながら自らの人生を描くことが、
110年前、漱石が語ったと同じように、
今の私達にも必要なのだろうな、

そしてそれこそが、


【夏目漱石の講話から学ぶ、激変の世の中でサバイバルする方法】


なのかもしれない、

そんなことを思った次第です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今週も皆様にとってよい1日となりますように。


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<本日の名言>

自分の運命は自分でコントロールすべきだ。
さもないと、誰かにコントロールされてしまう。

ジャック・ウェルチ

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<編集後記>

本日のお話は、私なりの「解釈」が多分に入っております。
実際は、もっともっと深い話でもありますので、
気になる方はぜひ原書を読まれてみてください。
私もまだまだ、勉強中でございます。。


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