配信日時 2018/05/04 01:00

トゥクトゥクの運転手アジームさんから学んだ、「世界共通のセールスの原則」とは?【未来習慣】

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<本日のお話> 平成30年5月3日 (第1539号)


トゥクトゥクの運転手アジームさんから学んだ、「世界共通のセールスの原則」とは?


株式会社カレッジ 代表取締役 紀藤康行
 
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(本日のお話 3944文字/読了時間5分)

※本日のお話も、少し長いです。
 お時間がある時にどうぞ。


■こんにちは。紀藤です。

皆様は、GWいかがお過ごしでしょうか。



私は、現在、初めてインドに来ております。

一通り見たかったものを見て、
インドの雰囲気を感じられましたので、
最終日の今日は朝から、デリーの市街をランニングすることに。

今月末には100キロマラソンのレースがありますので、
その練習 & インド観光をすることにしました。




計画はホテルから、デリー郊外まで、
17キロの道をランニング。

、、、のつもりが、

・持っていったランニングシューズが、
 ”足袋”のようなペラペラのものであったこと

・道路が、想像以上に悪路であったこと

・踏んでは行けない、牛とか犬とか、の危険物(あれです)
 が多すぎて、リズミカルに走れない

・車・バイクが多すぎて
 気を抜くとひかれそうになる


などのことから、
予想以上に、足裏に負荷がかかり、
血豆ができてしまい、10キロ程度で断念。


帰りは

”トゥクトゥク(3輪バイク)”

で快適にホテルに戻りました。

なかなか楽しい時間でした。


スマフォさえあれば、
インドでも「旅ラン」ができることに、
驚きと、時代の流れを感じた次第。




さて、本日のお話です。

インドに来ていますので、
せっかくなので、現地での体験を元に、
学んだこと、気づいたことを、
皆様にご共有させていただければと思います。


タイトルは、


【トゥクトゥクの運転手アジームさんから学んだ、「世界共通のセールスの原則」とは?】。


それでは、どうぞ。



■インドには、上流層、中流層、下流層と、

13億の中でも、かなり幅広い層の人がいます。

裕福な人も増えていますが、
それでもなお7割の人は、貧困層である、
と言われています。


実際、

都市部のデリーでも、
電車に乗っていても停電するし、

ホテルで食事をしていても停電するし、

ゴミだらけだし、
蝿もそこら中にいるので、

インフラ周りは、まだまだ、、、

と言わざるを得ません。



そして、少し離れた場所にいくと、
それこそ、本当に貧しい雰囲気を醸し出した人が、
わんさかいるのです。

そして、おそらく
今回のテーマである、

”トゥクトゥクの運転手”

もさほど豊かではない人たちなのでしょう。



■”トゥクトゥク”の
ドライバーは概して貪欲です。

日本で言う、タクシーみたいなものですが、
メーターはあっても、使う人はほぼ皆無の様子。

ターミナル駅を降りた外国人、
(例えば、私のような日本人)を見つけると、

水槽に投げ込まれた
「金魚(日本人)」を狙うピラニアのように、
次から次へと声をかけてくるのです。


「どこへいく?」

「案内するよ」

「この辺りは詳しい。まかせとけ」

「俺を信じろ」

、、、


いや、信じられません。


でも、とにかく直球勝負。

とはいえ、
こちらも移動手段を探しているので、
足を止めて値段交渉をしてみると、
大体、こんな感じになります。



私「40ルピーで、◯◯(目的地)までOKか?」

相手「オー、ブラザー、そこまでは300ルピーはかかるよ。
   特別に250ルピーでどうだ?」

私「高すぎる。メーターは使えるか?」

相手「メーターを使ったほうが高くなる。
   俺を信じろ」

私「高くてもいいから、メーター使ってくれ、OKか?」


相手「メーターは壊れている。
   だから、普通より早く値段が上がってしまう。
   それでもいいのか?」


私(そんなあからさまな嘘を、、、)
 「それでいいから、とりあえずメーター使って」


相手「OK、ブラザー。、、、わかった!
   往復275ルピーでどうだ?」


、、、


もう、全く話が噛み合わない。


ある意味、

その商売に対する、
真っ直ぐすぎるほどの情熱、

鬼気迫るほどの”売り込み”は

称賛に値するとも言えるのですが、
それでは当然、相手は警戒するだけ。


結局、

「、、、もういいよ」

と私(お客)は逃げる、

ということになるのでした。




そして、思うに、
声をかけてくるトゥクトゥクのドライバーの、
8割がそういう人(ピラニア系)なのではないか、

と思われます。



■そんな中、2日目の出来事。

「タージ・マハール」
(世界遺産になっている、最も豪華なイスラム建築のお墓)
に行くために、地方都市の駅に行ったときの話です。


とあるトゥクトゥク・ドライバーに出会いました。


もう声をかけられすぎて
疲れていたので、声掛けも、ほとんど無視。

しかしながら、ある一人の
声をかけてきたトゥクトゥク人が、

周りにそぐわないほど、
小綺麗な格好をしていたのでした。


なので、興味をもって、

「100ルピー◯◯までいけますか?
 100ルピーオンリーです。」

と、歩きながらいうと、

返ってきた答えが、
興味深いものだったのでした。


その答えは、


「それで、あなたはハッピーですか?」


という回答でした。


(、、、ん?ちょっと今までと違うぞ)

と、ふと思いました。


多くの場合、100ルピー、というと、


・「150でどうだ?」と値上げ交渉に来る

・「OK!ブラザー!ノープロブレムだ」といいつつ、
  車にのせた後、「ちょっと遠いからやっぱ200ルピーで」
  といってくる


だから、今回のケースは、
イレギュラーであり、
ちょっと不思議な感じがしたのでした。



■「あなたはそれでハッピーか?」


と、いわば『相手のWIN』を確認する、
ところから始まり、。
改めて、彼が立ち止まっていったのが、


「100ルピーで、あなたがハッピーならOK。
 私は100ルピーでハッピーです」


と改めて言ったのでした。

多分相場は、「地球の歩き方」から
普通の値段です。



ちょっと警戒モードが薄れて、
それから、話をしていると、彼がおもむろに、
小さな手帳みたいなものを出しました。


そこには、日本語、韓国語、英語など、
様々な言語で、アジームさんを利用した人の、
感想が書かれていました。


内容としては、


「アジームさん、ありがとう!楽しかった」

「最初は超絶怪しくて、最後まで疑っていたけど、
 結局、ただのいい人でした」

「他のトゥクトゥク・ドライバーに、
 騙され続けてきましたが、初めて彼のような
 ドライバーに出会いました」

「ある程度の英語で、会話が楽しめれば、
 アジームさんといても楽しいと思います。

「いい人でした。ただ、最後に連れて行かれた、
 シルクショップはいらないかな(笑)」

「値切ってごめんなさい。
 でも、それでも快く対応してくれました」

、、、

などなどコメントが
書かれていました。



それを見て、私は思います。


(作戦なのだろうけど、まあ、
 いい人なのかもしれないな、、、)

と。


■そして、目的地につく前に、
彼が言います。


「目的地に、もうすぐ着きます。

 ただ、もし、あなたが希望するなら、
 目的地にいくだけではなく、

 他の場所にもご案内しますが、どうしますか?

 お任せします」

、、、


見せられた「手帳」。

圧倒的な口コミの数。

彼の小綺麗な格好と、
そして他と違うキレイにメンテナンスされたトゥクトゥク。

そして、何より、
ピラニア的な手法ではなく、
「相手に任せる」というスタンス。


(上手なやり方だなあ)


と感心しつつ、
もう色々交渉するのに辟易していたので、

「じゃあ、お願いします」

とお願いをしたのでした。


■その後のアジームさんは、
大変、親切でした。

町のラッシー屋に連れて行く、
またランチのお店に連れて行く。

でも、ランチの間は、

「別のところに言ってます」

と、気を遣わせないようにする。



そして仕切りに、

「他に行きたいところはないですか?」

「アーグラで気になっていることはありますか?」

と、要望を聞いてくる。

そして伝えると、
リクエストに応えてくれる。


極めつけには、
後部に備え付けたスピーカーから、


『涙そうそう』


など、日本の名曲を流し始めます。


「この曲は、好きですか?」

「あなたが好きな曲は、他に何ですか?」


と、またこちらの感想を求めるのでした。




彼は、

「お金は、重要じゃないです。
 いくらでもいい」

と言いました。


多分、それは建前。

「お金が重要でない」

はずないのでしょう。

しかし、そう言われると、
インドの相場と、日本の相場は、
全然違うものですし、きちんと払いたくなるもの。


そうして、
相場より多めに出したチップを、
彼に渡して、彼と別れたのでした。


気持ちよくお金を払って、


「WIN−WINだなあ」


と一人思ったのでした。





■そして、振り返って、思ったこと。


多くのトゥクトゥクの運転手が、

「自分のWINを押し付けてくる」
(=値上げ、値上げ、値上げ!の一点張り)


に対して、このアジームさんが
一貫していたスタンス。

それは、


『こちら(相手)のWINは何か?』


をひたすら聞いてきた、
というところでした。



”お金”というものは
「感謝」という価値を、共通のものさしに、変換したもの。

だから、


【相手のWINを考えて、
 与えて、与えて、与えまくる』


ことが、最後には自分に戻ってくる、
ということは、おそらく、全世界共通の、

『セールスの原則』

です。

過度に感動をさせられたら、
それに見合う対価を払いたくなるのは、
人間の常なのでしょう。



そして、なんとなくですが、

その”セールスの原則”なるものを、
アジームさんは、これまでの経験から、
知っているように思えました。


アジームさんの作戦だとしても、
上手な商売人だなあ、

と思ったのでした。



■そしてこれはきっと、

インドでも日本でも、
どの場所でも変わらないのでしょう。


私達が仕事をしていても、

周りのお客様にせよ、
社内のお客様にせよ、

”何か自分が得たいもの”があるときは、

まず最初に、


『相手のWINを考えて、
 与えて、与えて、与えまくる』


こと。

そうすれば、その分、
自ずと返ってくる。、

急がば回れ。

与えよ、さらば与えられん。


それこそが、古今東西伝わる、


【世界共通のセールスの原則】


ではなかろうか、

そんなことを思った次第です。




ちなみに、『7つの習慣』でも、

・第4の習慣 Win-Winを考える
・第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される

とありますが、
相手の立場に経つことが、
極めて大事なことを、改めて認識した次第。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【本日の名言】

友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも、
相手に純粋な関心を寄せることだ。

アンドリュー・カーネギー

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<編集後記>

帰りの電車を待っているとき、
別のトゥクトゥクドライバーの人と世間話をしていました。

「今日は何してたの?」
「アジームさんという人と行動を共にしてました」
「何か見せられたでしょ。 アイツ、ウマイんだよな〜」

、、、やっぱり、
アジームさんの作戦だったよう。

感服です。



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