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<本日のお話> 平成30年5月3日 (第1539号)
トゥクトゥクの運転手アジームさんから学んだ、「世界共通のセールスの原則」とは?
株式会社カレッジ 代表取締役 紀藤康行
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(本日のお話 3944文字/読了時間5分)
※本日のお話も、少し長いです。
お時間がある時にどうぞ。
■こんにちは。紀藤です。
皆様は、GWいかがお過ごしでしょうか。
*
私は、現在、初めてインドに来ております。
一通り見たかったものを見て、
インドの雰囲気を感じられましたので、
最終日の今日は朝から、デリーの市街をランニングすることに。
今月末には100キロマラソンのレースがありますので、
その練習 & インド観光をすることにしました。
*
計画はホテルから、デリー郊外まで、
17キロの道をランニング。
、、、のつもりが、
・持っていったランニングシューズが、
”足袋”のようなペラペラのものであったこと
・道路が、想像以上に悪路であったこと
・踏んでは行けない、牛とか犬とか、の危険物(あれです)
が多すぎて、リズミカルに走れない
・車・バイクが多すぎて
気を抜くとひかれそうになる
などのことから、
予想以上に、足裏に負荷がかかり、
血豆ができてしまい、10キロ程度で断念。
帰りは
”トゥクトゥク(3輪バイク)”
で快適にホテルに戻りました。
なかなか楽しい時間でした。
スマフォさえあれば、
インドでも「旅ラン」ができることに、
驚きと、時代の流れを感じた次第。
*
さて、本日のお話です。
インドに来ていますので、
せっかくなので、現地での体験を元に、
学んだこと、気づいたことを、
皆様にご共有させていただければと思います。
タイトルは、
【トゥクトゥクの運転手アジームさんから学んだ、「世界共通のセールスの原則」とは?】。
それでは、どうぞ。
■インドには、上流層、中流層、下流層と、
13億の中でも、かなり幅広い層の人がいます。
裕福な人も増えていますが、
それでもなお7割の人は、貧困層である、
と言われています。
実際、
都市部のデリーでも、
電車に乗っていても停電するし、
ホテルで食事をしていても停電するし、
ゴミだらけだし、
蝿もそこら中にいるので、
インフラ周りは、まだまだ、、、
と言わざるを得ません。
*
そして、少し離れた場所にいくと、
それこそ、本当に貧しい雰囲気を醸し出した人が、
わんさかいるのです。
そして、おそらく
今回のテーマである、
”トゥクトゥクの運転手”
もさほど豊かではない人たちなのでしょう。
■”トゥクトゥク”の
ドライバーは概して貪欲です。
日本で言う、タクシーみたいなものですが、
メーターはあっても、使う人はほぼ皆無の様子。
ターミナル駅を降りた外国人、
(例えば、私のような日本人)を見つけると、
水槽に投げ込まれた
「金魚(日本人)」を狙うピラニアのように、
次から次へと声をかけてくるのです。
「どこへいく?」
「案内するよ」
「この辺りは詳しい。まかせとけ」
「俺を信じろ」
、、、
いや、信じられません。
でも、とにかく直球勝負。
とはいえ、
こちらも移動手段を探しているので、
足を止めて値段交渉をしてみると、
大体、こんな感じになります。
私「40ルピーで、◯◯(目的地)までOKか?」
相手「オー、ブラザー、そこまでは300ルピーはかかるよ。
特別に250ルピーでどうだ?」
私「高すぎる。メーターは使えるか?」
相手「メーターを使ったほうが高くなる。
俺を信じろ」
私「高くてもいいから、メーター使ってくれ、OKか?」
相手「メーターは壊れている。
だから、普通より早く値段が上がってしまう。
それでもいいのか?」
私(そんなあからさまな嘘を、、、)
「それでいいから、とりあえずメーター使って」
相手「OK、ブラザー。、、、わかった!
往復275ルピーでどうだ?」
、、、
もう、全く話が噛み合わない。
ある意味、
その商売に対する、
真っ直ぐすぎるほどの情熱、
鬼気迫るほどの”売り込み”は
称賛に値するとも言えるのですが、
それでは当然、相手は警戒するだけ。
結局、
「、、、もういいよ」
と私(お客)は逃げる、
ということになるのでした。
*
そして、思うに、
声をかけてくるトゥクトゥクのドライバーの、
8割がそういう人(ピラニア系)なのではないか、
と思われます。
■そんな中、2日目の出来事。
「タージ・マハール」
(世界遺産になっている、最も豪華なイスラム建築のお墓)
に行くために、地方都市の駅に行ったときの話です。
とあるトゥクトゥク・ドライバーに出会いました。
もう声をかけられすぎて
疲れていたので、声掛けも、ほとんど無視。
しかしながら、ある一人の
声をかけてきたトゥクトゥク人が、
周りにそぐわないほど、
小綺麗な格好をしていたのでした。
なので、興味をもって、
「100ルピー◯◯までいけますか?
100ルピーオンリーです。」
と、歩きながらいうと、
返ってきた答えが、
興味深いものだったのでした。
その答えは、
「それで、あなたはハッピーですか?」
という回答でした。
(、、、ん?ちょっと今までと違うぞ)
と、ふと思いました。
多くの場合、100ルピー、というと、
・「150でどうだ?」と値上げ交渉に来る
・「OK!ブラザー!ノープロブレムだ」といいつつ、
車にのせた後、「ちょっと遠いからやっぱ200ルピーで」
といってくる
だから、今回のケースは、
イレギュラーであり、
ちょっと不思議な感じがしたのでした。
■「あなたはそれでハッピーか?」
と、いわば『相手のWIN』を確認する、
ところから始まり、。
改めて、彼が立ち止まっていったのが、
「100ルピーで、あなたがハッピーならOK。
私は100ルピーでハッピーです」
と改めて言ったのでした。
多分相場は、「地球の歩き方」から
普通の値段です。
*
ちょっと警戒モードが薄れて、
それから、話をしていると、彼がおもむろに、
小さな手帳みたいなものを出しました。
そこには、日本語、韓国語、英語など、
様々な言語で、アジームさんを利用した人の、
感想が書かれていました。
内容としては、
「アジームさん、ありがとう!楽しかった」
「最初は超絶怪しくて、最後まで疑っていたけど、
結局、ただのいい人でした」
「他のトゥクトゥク・ドライバーに、
騙され続けてきましたが、初めて彼のような
ドライバーに出会いました」
「ある程度の英語で、会話が楽しめれば、
アジームさんといても楽しいと思います。
「いい人でした。ただ、最後に連れて行かれた、
シルクショップはいらないかな(笑)」
「値切ってごめんなさい。
でも、それでも快く対応してくれました」
、、、
などなどコメントが
書かれていました。
それを見て、私は思います。
(作戦なのだろうけど、まあ、
いい人なのかもしれないな、、、)
と。
■そして、目的地につく前に、
彼が言います。
「目的地に、もうすぐ着きます。
ただ、もし、あなたが希望するなら、
目的地にいくだけではなく、
他の場所にもご案内しますが、どうしますか?
お任せします」
、、、
見せられた「手帳」。
圧倒的な口コミの数。
彼の小綺麗な格好と、
そして他と違うキレイにメンテナンスされたトゥクトゥク。
そして、何より、
ピラニア的な手法ではなく、
「相手に任せる」というスタンス。
(上手なやり方だなあ)
と感心しつつ、
もう色々交渉するのに辟易していたので、
「じゃあ、お願いします」
とお願いをしたのでした。
■その後のアジームさんは、
大変、親切でした。
町のラッシー屋に連れて行く、
またランチのお店に連れて行く。
でも、ランチの間は、
「別のところに言ってます」
と、気を遣わせないようにする。
そして仕切りに、
「他に行きたいところはないですか?」
「アーグラで気になっていることはありますか?」
と、要望を聞いてくる。
そして伝えると、
リクエストに応えてくれる。
極めつけには、
後部に備え付けたスピーカーから、
『涙そうそう』
など、日本の名曲を流し始めます。
「この曲は、好きですか?」
「あなたが好きな曲は、他に何ですか?」
と、またこちらの感想を求めるのでした。
*
彼は、
「お金は、重要じゃないです。
いくらでもいい」
と言いました。
多分、それは建前。
「お金が重要でない」
はずないのでしょう。
しかし、そう言われると、
インドの相場と、日本の相場は、
全然違うものですし、きちんと払いたくなるもの。
そうして、
相場より多めに出したチップを、
彼に渡して、彼と別れたのでした。
気持ちよくお金を払って、
「WIN−WINだなあ」
と一人思ったのでした。
■そして、振り返って、思ったこと。
多くのトゥクトゥクの運転手が、
「自分のWINを押し付けてくる」
(=値上げ、値上げ、値上げ!の一点張り)
に対して、このアジームさんが
一貫していたスタンス。
それは、
『こちら(相手)のWINは何か?』
をひたすら聞いてきた、
というところでした。
”お金”というものは
「感謝」という価値を、共通のものさしに、変換したもの。
だから、
【相手のWINを考えて、
与えて、与えて、与えまくる』
ことが、最後には自分に戻ってくる、
ということは、おそらく、全世界共通の、
『セールスの原則』
です。
過度に感動をさせられたら、
それに見合う対価を払いたくなるのは、
人間の常なのでしょう。
そして、なんとなくですが、
その”セールスの原則”なるものを、
アジームさんは、これまでの経験から、
知っているように思えました。
アジームさんの作戦だとしても、
上手な商売人だなあ、
と思ったのでした。
■そしてこれはきっと、
インドでも日本でも、
どの場所でも変わらないのでしょう。
私達が仕事をしていても、
周りのお客様にせよ、
社内のお客様にせよ、
”何か自分が得たいもの”があるときは、
まず最初に、
『相手のWINを考えて、
与えて、与えて、与えまくる』
こと。
そうすれば、その分、
自ずと返ってくる。、
急がば回れ。
与えよ、さらば与えられん。
それこそが、古今東西伝わる、
【世界共通のセールスの原則】
ではなかろうか、
そんなことを思った次第です。
*
ちなみに、『7つの習慣』でも、
・第4の習慣 Win-Winを考える
・第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される
とありますが、
相手の立場に経つことが、
極めて大事なことを、改めて認識した次第。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【本日の名言】
友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも、
相手に純粋な関心を寄せることだ。
アンドリュー・カーネギー
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<編集後記>
帰りの電車を待っているとき、
別のトゥクトゥクドライバーの人と世間話をしていました。
「今日は何してたの?」
「アジームさんという人と行動を共にしてました」
「何か見せられたでしょ。 アイツ、ウマイんだよな〜」
、、、やっぱり、
アジームさんの作戦だったよう。
感服です。
<皆様の、ご感想お待ちしています!>
ぜひ、率直なご意見など、
皆さまのご感想、ぜひお聞かせください。
皆様の言葉が、力になります。
ご感想・ご意見は、ぜひ、こちらまで。↓
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