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<本日のお話> 平成30年4月29日 (第1536号)
今週の一冊『PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間』
フランクリン・コヴィー・ジャパン紀藤
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★紀藤康行プロフィール
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(本日のお話 2543文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、勉強会と、
コンサルティング(受ける方)。
ならびに、自宅に帰ってから、
最近睡眠時間が著しく不足していたため、
夕方頃から、失神するように眠っておりました。
やはり、無理をしてアクセルを踏みすぎると、
あとで、休息は必要になるもの。
”がんばること=無理をすること”
では、決してないと、
改めて認識した次第。
*
さて、本日の話です。
毎週日曜日は、おすすめの1冊をご紹介する
「今週の1冊」のコーナー。
今週の1冊は
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『PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間』
(著:ロバート・チャルディーニ)
http://amzn.asia/4C3AYGX
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です。
■ 1984年に出版された、
『影響力の武器 ―なぜ、人は動かされるのか』
http://amzn.asia/9QdiTba
と言う、ベストセラーがあります。
これは、社会心理学者である
ロバート・チャルディーニ―氏が、
人間が、しばしば不合理な行動することの、
社会心理学的な背景をまとめた本。
世界30カ国に翻訳されている、
大変注目された一冊です。
*
内容としては、
”普段は、聡明で、冷静に判断できる人”
のはずなのに、なぜだか
・明らかにおかしい話とわかりながら、詐欺に騙された、とか、
・欲しくもない商品だったのに、なぜだか買ってしまった、とか
・あやしげな新興宗教にハマってしまった
というような不合理な現象を、
「行動科学」という視点から解き明かした、
という本です。
人を有無をいわさず突き動かす、
何かの因子が、確かに存在する。
それを、
『6つのキーワード(影響力の武器)』
(=返報性、好意、社会的証明、権威、希少性、一貫性)
としてまとめあげたという、
大変説得力があり、かつ実用性も高い本なのです。
(私が、おすすめしたい名著の中でも
トップ10に入るビジネス書です。
これはこれで、ぜひ読んでみてください。)
■さて、本日ご紹介したい、
『PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間』
(著:ロバート・チャルディーニ)
http://amzn.asia/4C3AYGX
は、そんな名著『影響力の武器』の著者が
33年ぶりに書き下ろした新たな1冊です。
米国心理学会で、
2017年の図書賞にも輝いている、
注目の1冊でございます。
*
さて、この本には、何が書かれているのか。
一言で言えば、
『人は、 ”下準備(Pre-suasion)”によって、
行動を導かれている』
というお話です。
つまり、
・商品を売ったり
・誰かを説得したり
・営業を成功させたり、
などの、
「人を説得」する場面においては、
【本番ではなく、その”下準備”で勝負が決まっている】
ということを、伝えているのです。
■例えば、こんな例があります
◯特権的瞬間・・・「人は確証を探したくなる」
例えば、手相占いで、
「あなたは頑固な面がありますね」と言われると、
なぜだか自然と、自分の頑固な面、を無意識に探してしまいます。
結果として、あらゆる手相占い師の回答が、
「やっぱり当たっている! 」となってしまう.
という現象。
*
これを、利用するとどうなるか。
例えば、”一般の人に調査を依頼する仕事”なら、
調査を依頼する前に一言、
「あなたは、”人助け”ができるタイプですか?」
などと、質問しておく。
すると、「確証を探したくなる」ので、
殆どの人は「自分は”人助け”ができるタイプです」
という。
そう宣言してもらった後、調査を依頼する。
すると、あら不思議。
「自分は人助けできるタイプだから」
と言う自己認知を強化されているので、
協力を押してもらえる可能性が高まる、
というような話。
すなわち、説得には、
「特権的瞬間」を活用した
”下準備(Pre-suasion)が大事”
ということになります。
■また、別のキーワードでは、
こんな話があります。
◯目立つものは重要なもの・・・「人は、自分が注意を引いているものを、重要であると感じる」
例えば、 2000年に起こった、
ドイツのパイプ爆弾による爆発事件。
負傷者が多数発生し、当時のメディアを賑わせました。
その際、同時期に世論調査が行われ、
その結果を見てみると、
「右翼の過激思想が、ドイツが直面している
”最重要課題”である」
と考えるドイツ人割合が、
”0%から35%まで跳ね上がった”
という話。
(そして数ヶ月して、別の関連ニュースがなくなると
数字は再び0近くまで落ち込みました)
*
つまり、”本当に重要か、重要でないか”で、
人は判断しているのではなく
”「メディアなどでよく見るから重要」と、
盲目的に思い込んでしまう”
傾向がある、とも言えるでしょう。
これを、意図的に利用しようとすれば
例えば、政治活動で
”本当は知られたくないニュースを隠すために、
別のニュースを「意図的に」流す。そして、世論を操作する”
ということが、容易にできるわけです。
なぜならば人は、
『注目を集めるものが重要』
と思うから。
そして、それは、
”予め、下準備したことで、行動を方向付けさせる”
ことができる、ということになります。
*
その他にも、多数、
「人を動かす”下準備”」があり、
豊富な事例とともに、この著者では、
”人を動かす法則”
について、たくさん明示されているのです。
■そして、この本を読んで思ったこと。
それは、
『私たちは、意図的に操作されてしまう生き物もの』
であるということを、
重々理解しておく必要がある、
このことを強く認識したと共に、
危機感を覚えたのでした。
*
例えば、先程の、
『注目を集めるものが重要』
という話もそう。
日々 、マスコミが報道するニュースは、
玉石混交、多くのものがあります。
しかし、
本当の本当に、日々報道される.
このニュースが、もの凄い重要なことなのかは、
きちんと判断しなければなりません。
芸能人の誰々が、わいせつな行為をした、とか
学園問題で、不正行為があった、とか、
確かに、無視はできない問題かもしれませんが、
「本当の本当に重要なのか」
は、”注目されている”ことで、
バイアスがかかり、見えなくなっている可能性が高いのです。
そして、その”見えなくする”ことも、
誰かが、特定の意図を持ってやっている可能性が高い、
ということも、冷静に見る眼を持つ必要がある、
と思うのです。
■この本を読めば、
その手口が分かりますので、
「これは、自分を、
意図的に操作しようとしているのではないか」
ということを、理解する一助になるでしょう。
かつ、自分が、
「ぜひこの話だけは進めたい」
「なんとか相手を説得したい」、
という時にも、大変参考になる冊だと思います。
【本番ではなく、その”下準備”で勝負が決まっている】
この事を理解するために、
オススメの一冊です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間』
(著:ロバート・チャルディーニ)
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<編集後記>
この本のいいところは、事例が豊富である、
ということですね。大変参考になるのです。
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* 紀藤 康行*
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