配信日時 2017/10/09 01:20

今週の一冊 『文明論之概略』【フランクリン・コヴィー・ジャパン紀藤】

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<本日のお話> 平成29年10月8日 (第1333号)

今週の一冊 『文明論之概略』

フランクリン・コヴィー・ジャパン紀藤

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(本日のお話 2883文字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

本日、日曜日は、図書館に行き、ひたすら読書。
ナナメ読みをしていた『ビジネスマンのための近現代史の読み方』を
精読するとともに、その他の、世界史、日本史に関わる書籍を、
ひたすら読んでおりました。

また、夕方からは、妻と真っ暗な川沿いを
ひたすら20キロランニング。

3週間後に一緒に出場を控えている、
フルマラソンに向けて、密かに特訓をしておりました。

妻の目標はサブ4。
(4時間切り。女性ランナーの上位8%と言われています)

達成できるかは不明だけれど、とにかくがんばれ!


*

さて、本日の話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介させていただく、
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『文明論之概略』(著:福沢諭吉/全訳:先崎彰容)

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です。


■福沢諭吉と言えば、
日本人で言えば知らない人はいないかと思います。

一万円札にもなっている、あの方です。


福澤諭吉と言えば、『学問のススメ』が、
ぱっと思い浮かぶ方が多い方と思いますが、
今週ご紹介をさせていただく『文明論の概略』も、
彼が壮年期に書いた、大作であり、
今なお、深い示唆に富む名著です。

*

さて、ふと思うのですが、

・「福澤諭吉」という名前も知っている
・そして(一番高い)一万円札になる

くらいですから「どんな人なのだろう、、、?」
と、興味を持って当然のような気がします。


しかしながら、いざ、


「福澤諭吉は、何をしたのか」

「彼は、どんなことを考えて、
 どんな影響を後世に残したのか」

「福澤諭吉が書いた、
『学問のススメ』『文明論之概略』など、
 読んだことがあるだろうか」


と問うてみると、
何となく、多くの人が、
困った顔をするのが目に浮かぶようです。



しかし、当然ながら。

理由があって、語り継がれているのです。


大きな、大切なものを日本に、
後世に遺したがゆえに、彼の名前が刻まれている。

この事実は知っておく必要があると思うのです。


■、、、と、前置きで
つい熱くなってしまいましたが、

では、この『文明論之概略』。
どのようなことが書かれているのでしょうか?


内容紹介によると、このように説明されています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『文明論之概略』説明 

福澤諭吉は、明治8年に書かれたこの『文明論之概略』において、
維新革命後の日本が迎えた新たな状況を考察し、
社会に向けて「まずは西洋文明を目指すこと」を説いた。

日本の近代化の歩みを決定づけた名著のひとつに数えられているが、
それを全新訳したのが本書である。
 確かな考察に基づいた平易で読みやすい現代語訳に解説を付した保存版。


第一章 議論の本位を定めること
第二章 西洋の文明を目的とすること
第三章 文明の本旨を論じる
第四章 国民の智恵と道徳を論じる
第五章 前の議論のつづき
第六章 智恵と道徳の区別
第七章 智恵と道徳が行われるべき時代と場所とを論じる
第八章 西洋文明の由来
第九章 日本文明の由来
第一〇章 自国の独立を論じる

Amazon「Book」データベースより引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


■何となく、タイトルとしては、
堅苦しく感じるかもしれませんね。

ただ、読んでみると、違います。

特に、今回の紹介したバージョンは、
全訳がものすごく、読みやすい。


1875年に出版された著書にも関わらず、
決して色褪せることのない本であることがわかります。

むしろ、現代の日本が抱える、
北朝鮮問題、憲法改正問題、政治の不信感、
それらの問題に対する答えがあるようにすら感じるのです。


*

『文明論之概略』が出版された1875年。

この時代はいつだったのか、というと
明治維新が終わり、8年後、明治8年を迎えた年です。

まだ政治的に不安定な、そんな時代でした。


少し前まで、300年にわたり鎖国をしていた日本。

西洋諸国の植民地化の流れで、
黒船が来て、開国を迫られ、開国をせねばならなくなりました。

「文明」(蒸気船、情報通信、産業などなど)に関しては、
圧倒的に遅れていたのが日本。


イギリスでは産業革命を経て、
軍事も、産業も、圧倒的に強くなっていた時代。
蒸気船が、バンバン世界の7つの海を走り回っていました。


日本が刀で闘っていた直後、
イギリスでは1000を超える蒸気船で、
世界を斡旋していたのです、そんな時代です。


そして、そんな時代背景から、
日本を中国への足がかりにしようと、
「中継地点」として狙っている西洋。。

そんな背景から開国を迫られ、
同時に「日本を奪われてはならぬ!」と、
同時多発的に状況を学んだ志士たちが団結し、
力のある藩(長州、薩摩)を筆頭に、
無血革命としての、明治維新が起こったのでした。


、、、そして維新後。

新政府の元、日本では、
岩倉具視を筆頭にした使節団が、
アメリカ、欧州へ、視察にいきました。

そして、西洋の世界を目の当たりにして、

「西洋との差を埋めるために、
 少なくとも40年が必要である」

そういったそうです。



■その時、福澤諭吉は42歳でした。

西洋の事情を学び、同時に
日本という国の悪習も知っていた福澤諭吉。

日本が、その国体を維持するためには、
西洋文明を取り入れねばならぬ、
そうせねば、いずれ支配されてしまう、と思います。


彼はその時の全エネルギーを集中し、
あらゆる活動をやめ、1年間、読書と執筆に明け暮れました。

そして、『文明論之概略』を書くのです。


・今(1875年)の日本を取り巻く状況は、何か?

・なぜ、西洋の文明を、日本が今、本気で取り入れねばならないのか?

・そして、それを阻む日本の障害とは何か?


これらについて、まとめたのです。


*

私自身、読んでみて思ったこと。
とにかく「驚き」でした。


書かれたのは、150年近く前です。

直前まで鎖国をしていた日本。

知識人とはいえ、情報も今に比べて、
全然入ってこない時代です。


、、、にも関わらず、

・イギリスの覇権がどのように生まれたか
・フランスの政治体制は?
・シナ(中国)の歴史、宗教観、問題点
・西洋の文明がいかに築かれて来たのか、

そのような、

”世界は、誰が、いつ、何を行って、
 そしてどのように出来てきたのか?”

について、そして、

”これから日本がどうなっていくのか?”

について、事実に基づき、複合的かつ、
説得力を持って論じているのです。


その情報量たるや、驚愕。

「なぜ当時の人がそんなことができたのか」

と思わざるを得ませんし、
そのための努力を想像すると、
なぜ今、福沢諭吉が語り継がれているのかも、
わかるような気がするのです。


■詳しくは、ぜひ読んで頂きたいので、
このあたりにしておきます。


1つ、私が強く思ったこと。
というより、読んでお伝えしておきたいと思ったこと。


それは、

今の日本が、昔と何ら変わっていない、ということ。
そして今なお、取り組むべき課題がある、ということです。


1つ目は、

“日本がどうあろうが、世界は意図を持って動いている。
 自らの利権を拡大しようとする周辺がいる中、
 戦う「知恵」を持たねば、生き残っていけない“

ということ。

2つ目は、


“日本文明の良いところは、世界で一番長い歴史を持っていること。
 同じ言語、風俗を育み続けてきた国は、日本以外はない。
 だが、よくないところは、上下関係などで「権力に上下」があり、
 それによって新しいものが生まれないこと。ちっぽけな誇りは捨てるべき”

という話。



受け入れても、受け入れなくても、
世界のルールは、西欧が作っています。
このゲームのルールの「親」は西欧です。

そしてその中のいちプレイヤーが「日本」という国です。

そして、その日本という国で、私たちは生きており、
「大きな流れ」は私達の生活に、必ず影響を与えています。


今、不安定で、先が見えないときだからこそ。

ぜひ、この一冊を読みつつ、自らの住む国の原点を、
福澤諭吉という偉人を通じて、考えてみることも
よいのではないでしょうか。

ということで、ぜひ、お勧めいたします。


(今日のお話は、私の解釈も含め、お伝えしています。
 歴史認識が違うところがあれば、ご容赦下さい)

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<今週の一冊>

『文明論之概略』(著:福沢諭吉/全訳:先崎彰容)
http://amzn.asia/4vLUQ9v

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<編集後記>

何かを名さんとするのであれば、
「歴史」は絶対、学ばねばならない。

改めてそのことを痛感している次第です。

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* 紀藤 康行*

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